孫崎 享 さんの記事です:
Date: Mon, 22 Jul 2013 09:07:31 +0900
Subject: 自民党が大勝した。国民が現状政治に満足しない中で。なぜか。
自民党が大勝した。
例えば日経新聞は「与党圧勝 ねじれ解消」「参院選 自民65大幅増」「アベノミクスに信任」と報じた。
何故こういう結果が起こったか。多分、その正確な分析が要求されると思う。
NHKは次の報道を行った。
「出口調査で国政に満足するか
満足する 19%
あまり満足していない 58%
満足していない 26%」
何なんだろう。現状に「満足する」が約20%で総じて「満足しない」が84%の中で、政権党が大勝したのである。何故こんな摩訶不思議な現象が生じたのであろうか。
必ずしもすべての回答ではない。
しかし、日本は今「負け組」のふるい落としが厳しく進行している。
総務省の発表では非正規雇用が2000万人に上っている。年収200万円未満が1000万人に上っている。社会は急速にふるい落としに入っている。
これに加えて消費税の値上げがある。年金生活者などの実質減を意味する。
多分、こうした中で、「ふるい落とされる側」に行きたくないという気持ちが強く働いているのでないか。
長期的に見れば、日本社会は悲劇を迎える社会の方向に進む。
o 原発の再稼働をする
o 国家主権を侵すTPPに参加する。そのことは企業の利益確保が、生命、格差是正などより重要だという社会に入ることを意味する。
政治的に見れば、絶望感はますます増す。
私は日本社会はリベラル・革新勢力の一定勢力が不可避であると思うが、その見通しは全く立たない。
生活、みどり、社民等が惨敗した。
民主党は、前原氏等実質自民の勢力が究極的には中心の党である。
生活の惨敗は、ある意味、マスコミの力の凄さを示したと思う。
ひとたびマスコミによって「人物破壊」された者(小沢氏)は徹底的に排除されていく社会を示した。例えば森ゆうこ議員など極めて優れた議員であるが、小沢氏との近さが落選に結び付いたと思う。
かろうじて沖縄で糸数慶子さんが勝利した、東京都で反原発、反TPPをかかげ勝利した山本太郎や吉良産などの勝利はある種の光明を与えたが、大きな政治勢力にはなりえない。
日本政治はこれから先鋭化していくであろう。
まず社会の不満層が増大していく。
原発、TPP等対立する政策が推進されていく。
私は大変にがっかりした。
しかし、日本社会は自分に相応しい結果を得たのだと思う。
流れの中で、重要な役割、罪の最大責任は、争点をアベノミクスの信任やねじれ解消などとずらし、国民を見事自民党勝利へ誘導していった大手マスコミにあると思う。
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孫崎 享
駐イラン大使
外務省国際情報局*長 1997年-1999年
駐ウズベキスタン大使(初代) 1993年-1996年
*米国のCIA,英国のMI6などに相当する
日本の情報局です。でも日本の場合は攻撃性
がないですね。
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