小野寺防衛大臣の『国賊』発言こそ許すべきでない

2013-01-18 07:13:00タグ: 孫崎享
17日読売新聞は次の報道を行った。

「小野寺防衛相は17日夜のBSフジの番組で、鳩山元首相が中国側に対し、沖縄の尖閣諸島をめぐり、「係争地である」との認識を中国側に伝えたことについて、「中国側は『実は日本の元首相はこう思っている』と世界に宣伝し、国際世論を作られてしまう。言ってはいけないが、『国賊』ということが一瞬頭のなかによぎった」と述べ、激しく批判した。」
尖閣問題の領有権問題は1972年の国交正常化の時も、昨年夏の日中平和友好条約の調印の際にも問題になったが、いわゆる“触れないでおこう」方式で処理されてきた。つまり、日中双方とも領土主権を主張し、現実に論争が”存在“することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つことで日中政府間の了解がついた」
 
 
 わが国の同盟国である米国ですら、1971年以来、「領有権問題については米国は日本側の立場と中国側の立場のどちら側にもつかない」との立場をとっている
日中で交渉をした時期、読売新聞でさえ社説で「日中双方とも領土主権を主張し、現実に論争が”存在“する」との論をはっていたのである。

 そもそも領土問題を考察する際にはポツダム宣言基礎にすべきである。1945年8月15日日本はポツダム宣言を受諾し、1945年9月2日の降伏文書でもその順守を誓った。多分ポツダム宣言を無視してよいという人はほとんどいない。

 さらにカイロ宣言は「満洲、台湾及澎湖島ノ如キ日本国カ清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還スルコトニ在リ」となっており、尖閣諸島が「盗取シタル一切ノ地域」に含まれるか否かが争点になる
 ここでは本州、北海道、九州及四国は固有の島として認めている。その他は「吾等(連合国側)ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ」としている。つまり、尖閣諸島は日本固有の島であり、国際的に何ら問題ない」との立場はとれない。
これらの状況からして尖閣諸島が係争地であることは紛れもない事実である。

 物事にはさまざまの見方がある。時によって自己と異なる発言をする人々はいる。しかしこれを「国賊」という言葉を防衛相という責任ある人が使用することは座視するべきでない。
 かつ今、中国は尖閣諸島を自国領と主張している。

 
さらに1979年5月31日読売新聞は「尖閣問題を紛争のタネにするな」との標題で次の社説を載せている。


 第8項は次の規定を持つ。
「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ」 沖縄の尖閣諸島をめぐり、「係争地である」ことはまぎれもない事実である。




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