オーストリア編からしばらくご無沙汰ののち、「筆慣らし」と称してつらつらと思い浮かぶことを書き並べてみました。休み休みではありましたが、少しは以前の勘をとりもどせたかしら…?


 ワルツ『南国のばら』は、オーストリアの首都ウィーンで活躍したヨハン・シュトラウス2世がイタリアの国王ウンベルト1世に献呈した曲で、明るく優美な曲想が大のお気に入りです。

 昔のヨーロッパの芸術家たちにとってイタリアは憧れの南の国であり、芸術のメッカでありました。なんたって、ルネッサンスが花開き、大芸術家たちが跳梁跋扈‥いえ、数多輩出された国でしたからねぇ‥。

 私にとってイタリアは南国のイメージこそなかったけれど、芸術を愛するようになってからというもの、憧れの国のひとつとなりました。アモーレ・カンターレ・マンジャーレ(愛すること・歌うこと・食べること)の国イタリア…うん、これだけでも十分だなぁ!(笑)

 初めて訪れたのは21歳の時でしたが、この時はまだ「芸術」に出逢ったばかりだったので、歴史の息吹が感じられる街並みとか、美味しい食べ物のほうに気持ちが傾きっぱなしでした。でも35歳で再訪した時には「芸術の宝庫」をそれはそれは堪能しました~!3ヶ月滞在しましたから‥ね(幸運にも当時友人がイタリアに住んでいたのです!)。

 でも正直言うと、最初はイタリア美術はあまり好きではありませんでした。ビッグネームはそろっていますが、「キリスト教美術」というのが好みではなかったんですねぇ‥。なんか辛気臭くて。(それでもラファエロは別格だったなぁ‥)

 ところが、美術館に行かずとも(つまりは巷を歩き回るだけで)これでもかこれでもか‥と本物を見せつけられてゆくうちにすっかり虜になってしまいました。

 例えば、同じ聖書の一場面に取材している絵だとしても、画家によってこれほど切り取る場面が異なるとは…これほど表現が異なるとは…とか、人間の情感を‥一瞬の表情を削り取ったような彫刻とか、現実に存在した歴史の一コマが感じられる壮麗かつ盛者必衰の(笑)建築物とか。

 パトロン(もちろん権力と財力を握っていた宗教家たち)が強大だっただけに、残されたもののクオリティは半端じゃありません。

 ―100年や200年前だって、これらは存在していたのです。この国を訪れた芸術家たちのトキメキがわかるような気がしました。至るところに芸術が転がっている国…それがイタリアなんです!

 …というわけで、大本命「イタリア編」の幕を開けたいと思います。どれぐらい時間がかかるのか気が遠くなりそうですが、ライフワーク(大げさな!)と思って頑張る‘予定’です。興味のある方は気長におつきあいくださいませ。

 それでは私的芸術劇場のはじまりはじまり‥‥

          Buona Fortuna!(この言葉は実はイタリア語で「幸運を!」なのです!)

ヨハン・シュトラウス2世作曲  『南国のばら』 ウィーンフィルニューイヤーコンサート'98より https://www.youtube.com/watch?v=Y5aCOdllMLQ