生涯「女性」を描き続けた…ともいえるクリムトですが、意外なことに一生独身でした。…もっとも、周囲が女性だらけだったので、ただ一人を選んでそこに納まることなのできなかっただけなのかもしれませんが(笑)。

 当時、裸体のモデルを務める堅気の女性などというものは存在しませんでした。クリムトは娼婦たちにお願いしてモデルになってもらったようですが、彼女たちとは時に恋人として、また親しい友人として接していたようです。

 クリムトの描く女性には、「女性」という「性」への尊敬や賛美のようなものが感じられると思いませんか?

 女性のあらゆる成長段階、諸側面をリアルに描きつつも(装飾的ではありますが‥ね)、そこには何か尊厳のようなものがある…。

 案外、クリムトを魅了した‘人生における神秘的側面≪愛と死≫’が具現化されているのが女性という存在だったのかもしれませんね。

 クリムトの家にはモデルを務める女性たちが常時寝泊まりしていたそうですが、多い時には15人もの女性が住んでいたそうです!もちろんその中には恋人関係になったり、時には妊娠する女性もいて、14人もの婚外子(!)がいたと言われています。

 数多くの愛人たちの中で、もっともクリムトが信頼を寄せていたのがエミーリエ・フレーゲという女性でした。『接吻』の女性のモデルだともいわれています。彼女は流行りのブティックを経営する自立した女性で、クリムトに洋服のデザインを依頼したり、また、クリムトが描くモデルたちの衣装も手掛けていたようです。

 二人は長年にわたって書簡を交わし、夏には共に避暑地で過ごす‥という生活をしていたようですが、結婚することはありませんでした(まぁ、結婚したらしたで、クリムトの浮気グセに気苦労が絶えなかったことでしょうねぇ)。

 クリムトの最期の言葉が「エミーリエを呼んでくれ」だったそうですから、二人の関係の深さがわかります。色々な愛の形があるのでしょうね。

 クリムトの死後、エミーリエは手元にあったクリムトの手紙をすべて燃やし、生涯独身を貫いたとのことです。

 あっぱれな女性だなぁ…!

                                    Buona Fortuna!

グスタフ・クリムト作 『エミーリエ・フレーゲの肖像』
http://www.salvastyle.info/menu_symbolism/view.cgi?file=klimt_floge00&picture=%83G%83~%81%5B%83%8A%83G%81E%83t%83%8C%81%5B%83Q%82%CC%8F%D1%91%9C&person=%83O%83X%83%5E%83t%81E%83N%83%8A%83%80%83g&comment=%83N%83%8A%83%80%83g%82%CC%91%E3%95%5C%8D%EC%81w%90%DA%95%AB%81x%82%CC%83%82%83f%83%8B%82%C5%82%E0%82%A0%82%E9%89%E6%89%C6%82%CC%97%F6%90l%83G%83~%81%5B%83%8A%83G%81E%83t%83%8C%81%5B%83Q%82%F0%95%60%82%A2%82%BD%8D%EC%95i%82%C5%81A%96%7B%8D%EC%82%C9%82%E6%82%C1%82%C4%89%E6%89%C6%82%CC%8F%D1%91%9C%89%E6%82%CC%95%5C%8C%BB%97l%8E%AE%82%AA%8Am%97%A7%82%B5%82%BD%81B&back=klimt