ふるさと納税の国の基準に反する過度な返礼品で多額の寄付を集めたとして、6月の新制度からの除外が決まった大阪府泉佐野市は17日、除外理由の具体的な根拠の提示を求める質問状を週明けに総務省に送る方針を示した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190518-00000012-mai-pol

 

 

日本の「国」と「自治体」との関係性を示す事例として、この事例は以下の2点において大変新しく珍しい事例(令和的な事例)だと思う。

 

          「自治体」がお上(国)に逆らっている点

 

国から返礼品を3割以内に抑えるよう再三指導されていたにも関わらず、和泉市の市は逆らっている。国に自治体が逆らい、ここまでニュースになっている例は過去にあまりなかったのではないか。

日本は戦後、一貫して 中央集権型 の統治体制が敷かれてきたが、ある意味、中央集権型では地方自治が立ち行かなくなっている、ネガティブな意味での地方創生(中央による地方創生ではなく、地方による地方創生)が始まっていることを示しているのかもしれない。

 

          「国」と3割違反している「自治体」の両方とも大義名分がある

 

国としては東京一極集中してしまう税収を分散させるために作った制度なのに、泉佐野市に集中してしまうのは本末転倒。しかも、地元の名産品だけではなくアマゾンギフト券などでやるのはずるい。

泉佐野市としては、そもそも「ふるさと」というワードを使ってはいるが、全く納税者のふるさととは関係なく、これは地方自治体同士を競わせる制度。競って何が悪いのか?また、納税者もふるさとの人じゃないことが多いわけだから、返礼品も地元の名産品でなくちゃいけない理由が分からない。

両方とも言い分は分かる。

 

では、今後、泉佐野市はどうしていけば良いか?

泉佐野市に納税しても税制優遇が受けられないのであれば、いずれふるさと納税で泉佐野市に納税する人はほぼいなくなるだろう。普通に考えたら。

なので、二択。

1つ目は国と和解すること。言いなりになるか、少しでも国を妥協させて和解できるかがポイント。(国も制裁ではなく、対話で解決してほしい。借金の多い泉佐野市がふるさと納税から閉め出されるのはいじめに近い。)

話はそれるが、竹富町がふるさと納税返礼品に「高齢者見守り」というメニューを入れたが、モノでなくとも、仮にふるさとと関係なくても、こうした「社会的意義」のあるメニューも増やして欲しい。

2つ目は徹底抗戦。但し、これは ふるさと納税 という土壌で抗戦しても負ける。発想を変えないと。例えば、「地方による地方創世のために国と戦う自治体」というブランディングに変えてしまう、という発想の転換。

ちょっと話は変わるが、今、世界的にアメリカの「ポートランド」が全米で一番住みたい街として注目を浴びている。人口60万人で横浜市より小さいくらいの規模だが、都会とちょっと行くと大自然に恵まれている。環境先進エリアだし、DIYという概念もこの場所から生まれた。自転車での移動が盛んで健康意識も高く、ナイキの本社もここにある。

で、このポートランドの街のスローガンが、

Keep Portland wired 変わった街でいよう

だ。このコンセプトに惹かれた人たちがポートランドに集まり、人口が増えている。

戦後の日本は中央集権的に地方自治が行われてきた。よって、いわゆる「キャラ立ち」した自治体が本当に少なく、「東京以外はみな田舎」という国家を作ってしまった。

令和の時代は地方による地方自治が行われる時代になるべき。人口減少社会だし、借金まみれだし、中央も余裕がない。そう考えると、ふるさと納税における彼らのやり方が正しいとは言わないが、国と戦う姿勢を一貫して見せているところは、新しい時代のスタンスとも受け取れなくもない。ただの反抗期に陥らず、ポートランドのような素敵なキャッチコピーを作り、是非、市のブランディングに活用して頂きたい。