カンヌで賞をとった「万引き家族」を観ました。

結論から言うと、僕は好きです。

是枝監督はドキュメンタリー出身なので、臨場感、リアリティは半端ないです。

僕も若者研究というのはドキュメンタリーなので、ドキュメンタリーが大好きです。だから、好き。

しかし、エンタメとして、恐らくこの映画はヒットしないでしょう。

僕が行った映画館はほぼ高齢者の観客でしたが、皆、口々に つまらない 期待外れだ という言葉を発していました。

高齢者も赤ちゃんもある意味正直で残酷ですね。

何も口に出さなくてもいいのに。

でも、まあ、その気持ちも分かります。

「万引き家族」は、要は現代社会では1人では生き難い人が増えており、仮に血がつながってなくても、かつての家族以上に結束できる

共同体があり得るのではないか、というテーマを持っています。

でも、これ、ちょっと時代感がほんのちょっとだけずれています。

恐らく是枝監督は、哲学者ではあるんだけど、マーケッターではないのだと思います。

失業率がヤバい欧州でこれがウケるのは分かります。

が、今の日本は超人手不足状態で有効求人倍率がほぼ過去最高に達しています。

どちらが首になるかで仕事を取り合うシーンが出てきますが、今は人であれば、誰であっても欲しい時代。

リアリティが売りの監督なのにあまりにリアリティがありません。

離婚率もやや下がっており、むしろ従来の家族が見直されるタイミングになっていると思います。

目黒の幼女虐待に近いシーンが出ており、ここは本当に臨場感がありましたが、

マクロ経済が良くなり、時給が上がり、何より超人手不足に陥っている日本の今には、

ちょっとそぐわないと思います。

ただただ暗かった90年代にやってほしかったテーマです。

ちょっと遅かったという意味で惜しいし、恐らくこの映画は時代感がズレているのでヒットしないと思います。

が、東京オリンピック後にまた大不況がきたりしたら、その時に再度見直される映画になると思います。

時代感以外は素晴らしかったと思いますし、是枝監督は本当に素晴らしいと思います。(昨日の報道ステーションを観て

ファンになりました。詳細は僕のツイッターを見て下さい。)