1981年の作品。山田太一脚本。
フジテレビの北の国からと放映日時が一緒だったそう。この当時は、まだ一般家庭にビデオデッキが普及しておらず、視聴者は北の国からと想い出づくり。のどちらかを選択しなければならず、かなり悩んだ人もいたのだとか。
蓋を開ければ、視聴率自体は想い出づくり。に分配が上がっていたのだそうです。
物語は、森昌子・古手川祐子・田中裕子演じる3人の23歳女性が、青春の「想い出作り」にと企画会社へヨーロッパ旅行を申し込むのですが、実はこの会社は詐欺集団だったことが発覚。その勧誘をしていた柴田恭兵演じるセールスマン(現代で言うキャッチ)の家を探し当て、3人娘が抗議に行くのですが「お前らキャッキャ旅行することしか頭にないのかよ」と柴田恭兵から逆ギレされてしまいます。3人は核心を突いたことを言われてしまい、詐欺に怒りながらも自分達の人生について、もがき始めていきます。
女性蔑視も去ることながら、ドラマ中での男性から女性へのセクハラ発言や「お前それ犯罪やぞ」という行為が多々見受けられます。
ゆとり世代や、Z世代の人が視聴したらかなりドン引きしてしまうのではないでしょうか(苦笑)。
男女雇用機会均等法施行は1986年ですので、その5年前に制作されたドラマです。
2026年現在も男女雇用機会均等法が完全に施行されているとは言い難いですが、女性達は現代よりももっと大変だっただろうし、生きづらかったのだろうなぁと思います。
田中裕子演じる商社OL香織の「仕事は雑用ばかりで出世なんか望めない、もう23歳なんだからさっさと結婚しろと言われる、結婚するなら心から好きな人と思って探していると『それは高望みだ』と言われる。じゃあどうすればいいの、何を生きがいにすればいいの」というセリフ(かなり要約しました)があります。
この当時はクリスマスケーキに例えて24歳までに結婚しないと売れ残りという風潮がかなり強かったようで、このセリフに当時の女性達の葛藤が垣間見えます。
森昌子演じる東京下町の工場で働くのぶ代は、父親の上司から見合いを勧められてしまい、渋々上司の親戚中野二郎(加藤健一)に会ってみるものの、やはり気に入らず断るのですが、二郎がしつこく付き纏い(というか現代なら完全なストーカー行為炸裂)、父親の立場を思うと強く出られず、悩みの種が増えてしまいます。
この当時は、恋愛結婚とお見合い結婚が半々だったのでしょうかね?
現代であれば、マッチングアプリや結婚相談所などで自分で取捨選択ができるので、のぶ代が悩む家族のしがらみというのはあまりないと思いますが、ただ成婚率の低下、離婚率の上昇、少子化が進んでいるという側面もあり、現代でも難しい問題です。
古手川祐子演じる久美子は小田急ロマンスカーで客室乗務員をしています。
小田急に勤める以前は故郷の役所勤めをしていましたが、フラストレーションが溜まってしまい、両親の反対を押し切って東京に出てきたものの、結局故郷にいた頃と変わらず、自宅と職場の往復の毎日。そんな日常から抜け出したく、前述のヨーロッパ旅行を申し込みます。
が、柴田恭兵演じる典夫から乱暴されてしまい(というか犯罪だぞこれ)、紆余曲折あって彼と付き合い始めたものの、典夫は典型的なヒモ野郎で、全然働かず、最終的に久美子は小田急を辞め、スナックで働き始めてしまい、「自分がしっかりしていれば、どこで働こうと関係ない、典夫を更生させる」と意気込みますが、かえって香織やのぶ代を心配させてしまったり、小田急を辞めたことで故郷の両親に連絡が行ってしまい、東京に乗り込んできた父親から無理やり典夫と別れさせられてしまったりと中々ハードな日々が続きます。
ま、ヒモに関しては昔から一定数いますからね笑、そこは変わらないかな、と。
私が特に胸が痛かったシーンは、香織がいけすかない上司をからかってやるつもりもあり、つい関係を持ってしまいますが、結局その上司は周りの人間に香織の名前こそ出さないものの、若い女性と関係を持ったと吹聴してまわったり、仕事中も相変わらず雑用係としてしか見ないという行動が続きます。
香織は以前にも仕事の相談をこの上司にしていたのですが、その時は無理やり接吻されるという侮辱行為を受けています。
勿論、関係を自ら持ってしまった香織にも非はあるものの、結局自分はどこまでもバカにされていただけだったと気づき、泣きながら歩いているシーンです。
本当は仕事も一生懸命やりたいし、恋愛だって全力投球したい、でも周りがそれをさせてくれない。
そんな表情がすごく印象に残ります。
また、のぶ代も一度は二郎との結婚式をボイコットして取りやめたものの、熱心な二郎に絆されて、今度は自分から二郎に告白しに行くのですが、告白する前に断られてしまいます。
ショックで家に帰るのぶ代、告白するつもりだったとわかって慌てて追いかける二郎。
玄関先で泣くのぶ代ですが、一見すると断られたショックで泣いているだけのようにも思えますが、私には「もうこうするしか自分の生きる道はないんだ」という慟哭に思えてしまい、なんとも物悲しいシーンです。
最終的に、久美子は典夫といわゆる現代でいうところの授かり婚でゴールイン、のぶ代は二郎と結婚し盛岡へ、香織は一目惚れした根津甚八似のパイロット(でも演じているのは根津甚八笑)と結婚します。
問題提起として1人くらい独身を貫く人がいてもいいのではないかと思いましたが、ある意味現実的な落とし所で幕を閉じさせたのかな、と思います。
それぞれの結婚後のシーンが最後に描かれています。専業主婦が圧倒的多数だった時代に、久美子は典夫と共働きという道を選び、のぶ代は二郎と対等なビジネスパートナーとして成長しているところ、香織も根津甚八似の旦那と一緒に滑走路に入って現場の仕事をしています。
そこに、少し希望が見えるところが山田太一さんらしいなぁと感じました。
