美容整形手術の成功談をTwitterやブログなどで発信している人について、私が思っていること。
「〇〇手術して本当に良かった。先生に感謝!!」
「〇〇手術してコンプレックスがなくなった」
「〇〇手術で垢抜けた」
「〇〇手術したけど、全然バレない」
など、耳障りの良い言葉がネット上で見受けられる。
その言葉に後押しされて、実際に手術を受けて幸せになった人は沢山いるだろう。
でも真逆の結果になって苦しんでいる人も、沢山いるのではないだろうか。
美容整形手術の成功談がネット上で発信されることで、一番メリットを得ているのは誰か?
美容外科ですよね。
客がタダで宣伝してくれて喜んでいるはず。
手術が成功してコンプレックスが解消されて幸せになった人は、自分がやってみて良かったことを、同じ悩みを抱えている人に教えてあげたい!という善意から、ネット上で発信しているのかもしれない。
けれど、美容整形手術というのはとてもハイリスクで、医師のレベルによって結果が全く違うし、経歴が完璧(に見えるよう)な名医と言われている医師でも、毎回成功するわけではなく、時にありえない大失敗をやらかすこともある。
美容整形手術は成功するかどうか分からないギャンブル。
私が尊敬している勝間和代さんは、
「起こりそうな失敗はすべて起こると思おう」
「起こりそうな失敗の確率が5%以上あるもの(10〜20回のうち1回は起こる)は、原則として起こるので、そのようなリスクは取らないでおこう」
と仰っていた。
これは金言だと思う。
(この言葉を3年前に聞きたかった…)
世間では「やらなくて後悔するより、やって後悔した方がいい」という言葉がもてはやされているが、美容整形手術においては、やって後悔した時点で人生詰む。取り返しのつかない事は、本当にあるので。やらなくて後悔するほうがずーーーっとマシ。
話が脱線してしまったが、美容整形手術はJSAPS(形成外科専門医を中心とした美容外科学会)の美容外科専門医でも失敗する可能性はあり、ましてや新卒でいきなり美容外科医になるようなJSAPSに所属する資格すらない医師(JSASのみの会員。JSASにも専門医制度はあるが、JSAPSと比べて難易度に大きな差がある)なら、失敗の確率がもっと高くなる。
そのような、失敗する確率が高いものに対して、希望を抱かせるような発信は、ハッキリ言って【害】でしかない。
顔の悩みは根深い。
自分の顔が大嫌いで、気持ち悪くて、嫌悪しながら生きていくのは、本当に辛い。
そんな中で、「手術をすれば、その嫌悪感から解放されるよ〜幸せになれるよ〜」という希望を見せつけられて、幻想を抱いてしまった結果、失敗の確率が5%以上ありそうな、失敗されたら取り返しのつかない危険なギャンブルに首を突っ込む。
失敗されれば地獄。
取り返しの付く失敗なら、また大金を払えばリカバリーできる。それならまだいい。
取り返しのつかない失敗をされた場合、人生が崩壊する。
しょーがない!と開き直れるような強い人なら、まだ救いはある。
けれど開き直れない人は、こそこそ隠れるように生きるか(←私)、最悪の場合は死ぬ。
美容整形手術の成功談を良かれと思って発信している人は、自分の行いが最悪人の生き死にを左右している可能性があることを自覚してほしい。
美容整形失敗の原因が、成功談を発信している人達のせいだとは思っていない。
本当はこの人達が悪いわけではない。
悪いのは、知識も技術もないのに人の顔を無責任に手術した美容外科医。知識も技術もあっても失敗した美容外科医。引いては、この世に美容整形手術を広めた人達。人の劣等感につけこんで儲けようとしている人達。
だけど、成功談の発信者は、意図していなくても、結果それらの人達に加担している。
本当に罪深いことだと思う。
世の中の美容整形の失敗の原因を作ったのが、成功談を世の中に発信している人達だとは言わないけれど、全く責任がないとも思っていない。
やはり人生を台無しにしてしまうほど取り返しの付かない失敗をされる可能性があるものに対して、変に希望を抱かせるような行動は慎むべきだと思う。
顔の悩みは根深く、少しでも良くなりたいという思いが強いほど、希望は毒になる。