2017.29「かがみの孤城」辻村深月 | 町に出ず、書を読もう。

町に出ず、書を読もう。

物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

さーて、

 

 

ひっさびさの、

 

 

ちょーひっさしぶりの、

 

 

読書レビューいっくよー

 

 

さー、前に記事で書いたように、

 

 

今年読んだ本の1冊目はー、

 

 

・・・という感じで行きたかったんですが、

 

 

素敵なニュースが入ってきたので予定変更。

 

 

(と、ここまで書いた時点では結構旬なニュースだったのですが、

 

 

 今となってはちょっと時季外れな気も・・・

 

 

 いやいや、そんなこと気にしない!

 

 

 というか、いまさらそんなこと気にしたってどうしようもない!

 

 

 という自暴自棄な感じも含みつつ

 

 

 このまま書き上げてしまおう!という

 

 

 脳内葛藤があったりするのですがそれはさておいて・・・)

 

 

2年8ヵ月ぶりくらいに書く読書レビューは、

 

 

祝・本屋大賞2018受賞!!

 

 

の、この本!

 

 

 

2017年29冊目

「かがみの孤城」

辻村深月

 

 

 

かがみの孤城 かがみの孤城
1,944円
Amazon

 

 

あなたを、助けたい。

 

学校での居場所を失くし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。

 

輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。

 

そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―ー。

 

なぜこの7人が、なぜこの場所に。

 

すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。

 

生きづらさを感じでいるすべての人に贈る物語。

 

一気読み必死の著者最高傑作。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

安西こころは中学1年生。

 

 

5月というまだ入りたての時期にも関わらず、

 

 

クラスのリア充グループに目を付けられ、

 

 

理不尽なことを色々されて、

 

 

目下絶賛不登校ちゅう。

 

 

そのくせ不登校になってしまったがゆえに

 

 

加害者であるはずの連中が被害者面をし始めて、

 

 

こころの家にまで乗り込んできては

 

 

話し合えだとか卑怯者だとか罵られる始末。

 

 

そんな中、絶望感に打ちひしがれるこころの部屋にある姿見が、

 

 

突然光を放ち始める。

 

 

鏡の中を潜った先にあったのは、

 

 

絵本の中でしか見たことがないような、西洋風のお城。

 

 

そこには、こころと似た境遇の中学生男女と、

 

 

リアルな狼のお面を被った「オオカミさま」という幼女が居た。

 

 

幼女は淡々とこの城に関する「ルール」を話し始める。

 

 

各々の家にある鏡から入ることのできるこの城は、

 

 

翌年の3月30日まで、毎日解放されているということ。

 

 

しかし、日本時間の9時から17時までしか居てはいけないこと。

 

 

そのルールを破ると、

 

 

取り返しのつかないペナルティーが科せられること。

 

 

そして、

 

 

城の中には、「願いの部屋」という隠された場所があること。

 

 

一人しか入れないという「願いの部屋」に入れた者は、

 

 

どんな願いでも叶えてもらえるということを告げる。

 

 

半信半疑ながらも「願いの部屋」に入るために

 

 

「鍵」を探すこころ達だが、結果は芳しくない。

 

 

そのため自然と「かがみの孤城」は、

 

 

現実世界で居場所を作れないこころたち7人の

 

 

かけがえのない居場所となり、

 

 

同病相憐れむ7人の間には、

 

 

衝突しながらも、絆のようなものが芽生え始めていく。

 

 

しかし、時は残酷にも過ぎ去り、

 

 

タイムリミットは目の前に迫ってくる。

 

 

かたや現実世界も、

 

 

停滞を許してくれるほど、生ぬるいものではない。

 

 

望む望まぬに関わりなく、

 

 

中学生には到底抗いようのない決断の時が、

 

 

否応もなく迫ってくる。

 

 

こころたち7人の「これから」はどうなるのか。

 

 

そして、この「かがみの孤城」は

 

 

なんのために存在していたのか・・・

 

 

というお話。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

まあ中学生時代なんてあんまりにも過去の話過ぎて、

 

 

そりゃ良い思い出も悪い思い出もあるけれど、

 

 

このほとんど中学生しか出てこない作品に、

 

 

このオッサンが感情移入できるものなのかと

 

 

読み始める前には危惧していたものですが、

 

 

そこはさすがの辻村さんでございます。

 

 

中学時代なんて向かうところ敵なしのゴリゴリ文武両道で、

 

 

無双しまくって挫折感なんて一切感じてないぜ的な、

 

 

ごく一握りの人は除外するとして、

 

 

多かれ少なかれ「疎外感」を感じたことのある人にとっては、

 

 

7人のうち誰かしらのエピソードが

 

 

ざっくりとぶっ刺さるんじゃないかと思いますね。

 

 

そういう意味では、辻村さんのデビュー作、

 

 

「冷たい校舎の時は止まる」に、

 

 

ちょっと近しいような感じもしますね。

 

 

とはいえ、「冷たい校舎~」は高校生たちの話。

 

 

極端なことを言えば、

 

 

もうこれは不必要だな、と思える「しがらみ」は、

 

 

バッサリ絶つ(自主退学)というルートが、

 

 

まあ現実的には難しいとしても、

 

 

選択肢として厳然として存在します。

 

 

しかし、中学生ともなるとそうはいかない。

 

 

なんといっても義務教育というものがあるので、

 

 

退学してそのままバイバイ、とはなかなか問屋が卸さない。

 

 

万が一問屋が卸しても、世間的にはなかなか許容されない。

 

 

逃げられたとしてもどうせ同じような場所に属さなければならず、

 

 

そこが、今より居心地のいい場所かどうかなんて、

 

 

誰も保証してくれないし。

 

 

そんな、最も逃げ道が限定されている

 

 

「中学生」というのをモチーフに持ってきて、

 

 

当事者である7人の心情はもちろんのこと、

 

 

あんまり表立って出ては来ないものの、

 

 

「保護者」としての煩悶や葛藤なんてものを

 

 

端々に感じさせる手法が巧いですね。

 

 

ただ中学生を主軸に据えたせいもあり、

 

 

この子たちがが「やられた」ことは、

 

 

まあ何というか、言葉を濁して言うと

 

 

「ぬるめ」であって、

 

 

もっと強烈な、

 

 

読者が絶望してしまうようなエピソードの

 

 

一つや二つあってもいいような気もして、

 

 

こういう話なら、やられればやられるほど、

 

 

ラストの落差があっていいのになぁ、なんて

 

 

思わなくもないんですが、

 

 

こればっかりは好みの問題でもありますし、

 

 

ワタクシはヒネクレモノなので、

 

 

あんまり気にない方がいいかもしれないです。

 

 

まぁ、とりあえず良い作品です。

 

 

冒頭のあらすじ(アマゾンのをコピペした)にあるように、

 

 

「著者最高傑作」かというと、

 

 

個人的にはそうでもないですが、

 

 

(私的ランキングでは5指に入るかな、くらい)

 

 

中学生時代の自分を肯定できるような、

 

 

人と人との繋がりってのは、

 

 

何も邂逅頻度なんて関係なくて、

 

 

こころの中に残せるものがあるかどうかなんだな、とか、

 

 

その「こころの中に残せたもの」ってのも、

 

 

残ってることを自覚してようがしていまいが、

 

 

大事なもんなんだなぁ、とか、

 

 

そういう暖かいものを残してくれる作品でございました。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

というわけで、

 

 

ちょうひっさしぶりの読書レビューはおしまい。

 

 

久しぶりすぎて、

 

 

文章力の低下を嘆かざるを得ない状態です。

 

 

アップする前に読み返してみても、

 

 

何だこれ、全部消そうかななんて思ってしまったりもしますが、

 

 

どうせ今後もこんなもんなんだしな、と諦めます。

 

 

ひとりでもこの本に興味を持っていただければ、

 

 

それに勝る歓びはございませんよ、マジで。

 

 

 

 

では、こんなところで。

 

 

次こそは今年読んだ本の感想をば。

 

 

・・・・・・・・・もしかすると、

 

 

去年以降に読んだ本の紹介が続くかもしれませんが、

 

 

悪しからず・・・・・・

 

 

先に書きあげられた方をの載せる予定。

 

 

リクエストいただいた分も、いずれ書きますから。

 

 

ごめんなさひ。ひひひ。