戦士の葛藤 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

ぐはぁ。




こ、こいつ、強いッ!




これまで倒した敵とは、桁違いの強さだ。




勝てるのか?




こんな強敵に俺達が・・・




しかし、




こいつを倒さなくては、世界は滅茶苦茶になってしまう。




仲間たちも傷つき倒れている・・・




もう、やるしかない。




師匠に教わった、絶対に使ってはいけないと言われた最終奥義を。




食らえっ。




寿命が半分になってしまうという、禁断の最終奥義を!




うおおおぉぉぉぉぉl!!




・・・ハッ!?




まてよ。




絶対に使わないという条件だったから師匠に詳しく聞かなかったけど、




この「寿命」というのは、




「これから先の生存年数」のことを言うのか?




それとも、




「生年から没年までの年数」のことなのだろうか?




前者ならば問題ない。




この敵を倒すことが出来れば、世界に平和が訪れる。




戦いのない平和な世界になるのだ。




それはとても素晴らしいことだが、




戦うことしか能の無い俺が必要とされなくなるということでもある。




だったら、そんな未来で長生きをする意味はない。




しかし、懸念すべきは後者だった場合だ。




もし今が、俺の「生年から没年までの年数」の半分を過ぎていたら・・・




いや、先に述べたとおり、死ぬこと自体は別に構わない。




問題は、奥義を出したあと、




正確に言うならば、奥義を出して俺が絶命したあと、




その奥義が敵にまで達するのかどうかだ。




俺が死んでも、奥義が敵にまで到達し、倒せるのであれば問題はない。




しかし、絶命と同時に消滅してしまうとなれば、奥義を放つ意味がなくなる。




それはただの犬死にだ。




それならば、俺は奥義を諦め、決死の覚悟で敵と対峙し、




できるだけのダメージを与えて仲間に後事を託す。




その方が、少しでも勝てる可能性が高まるからだ。




敵を倒す助けにもなれぬまま死んでしまうなど、




仲間のためにも到底できる選択ではない。




・・・畜生ッ!




悔しさのあまり汚い言葉が口を吐いて出てくる。




畜生畜生畜生畜生畜生畜生ッ!




どうして




どうして俺は、




どうして俺は53歳なんだよぉぉぉぉぉ!




せめてあと10年・・・、いや20年若ければ、




迷いもなく最終奥義を出せたというのに!




畜生ッ!




畜生ォォォォォ!!










という事態が起こらないために、



バトルものの主役たちは年若いんじゃないかなぁ、



なんて



思ったり思わなかったり。