66.「憑物語」西尾維新 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

66冊目

「憑物語」

西尾維新

講談社BOX


憑物語/講談社
¥1,365
Amazon.co.jp

“頼むからひと思いに――人思いにやってくれ”


少しずつ、だがしかし確実に「これまで目を瞑ってきたこと」を清算させられていく阿良々木暦。


大学受験も差し迫った2月、ついに彼の身に起こった“見過ごすことのできない”変化とは…。


「物語」は終わりへ向けて、憑かれたように走りはじめる――


これぞ現代の怪異!怪異!怪異!


青春に、別れの言葉はつきものだ。


・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・



いきなり主人公の暦がロン毛になってるわ、下の妹と一番風呂の権利を争って喧嘩になり、折衷案として(というか、後に引けなくなった意地の張り合いのせいで)一緒に風呂に入るわと、いつもより斜め上のコミカルパートで始まった「憑物語」。




しかし、その後の展開はいつもに増して深刻になっていきます。




・・・・・・・って、深刻な展開を云々する前に、高3の兄と中3の妹が入浴するところにツッコミを入れざるを得ないよなぁ。




シスコンブラコンをだいぶこじらせてるこの兄妹(上の妹も含む)だけど、これはちょっと引いたわ・・・




まあもちろん伏線も込みでのストーリー進行なわけで、風呂に入ったことにより「見過ごすことのできない変化」が発覚するのだけど・・・




うん、まあ、別に風呂にこだわらなくても別段問題なく発覚する機会は大いにあると思うのだけど、それは言わないお約束ということで。




てか、アニメ化するんだよね、この本も。




兄妹の入浴が2割方占めてるんですがどうするんですかこれ・・・




とか、関係ないところで気を揉んでしまいます。




まあ、そんな心配はさておき、今作のヒロインというか表紙を飾ったのは、「死体の付喪神」である斧乃木余弦。




言葉遣いがコミカル(顔は無表情だけど)なせいであまり脅威を感じないのだけど、実際は人間の1人や2人簡単に殺してしまえる力を持っていて、その姿を目の当たりにした暦は・・・




という筋書きを目論んで今回の騒動を起こした「黒幕」の存在が仄見えて続きが気になりますね。




今回の騒動の犯人(黒幕ではない)は、「自分が他者の筋書き通りの行動をし、役を演じさせられている」と薄々感じながらも役目を全うしました。




それならば、「黒幕」としてもってこいのキャラクターであるあの人物は、本当の「黒幕」なのか。




それとも、「黒幕」であるという役回りを演じさせられているだけなのか。




徐々に結末へ向けて収束が始まってきてわくわくしますな。




・・・しかしこのシリーズは刊行ペースが速いから、早いこと感想を書かないと、前作次作と記憶が混同して困るわ。