58.「カンナ 天満の葬列」高田崇史 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

58冊目

「カンナ 天満の葬列」

高田崇史

講談社ノベルズ


カンナ 天満の葬列 (講談社ノベルス)/講談社
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取材のため太宰府を訪れた竜之介と時を同じくして湯島天神を参拝した貴湖。


二人は、菅原道真公がなぜ大怨霊と恐れられるようになったか疑問に思う。


そんな折、出賀茂神社社伝を盗もうとした賊に丹波が襲われ、甲斐もまた何者かにつけ狙われる。


黒幕を調べるうちに社伝と道真に深い繋がりがあると分かり…。




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QEDシリーズにしろ、このカンナシリーズにしろ、基本的には勝者の記した史書(おもに官制)に記述された「騙り」を暴き出すものが多いんですよね。




だから、酷い人間だったから成敗されたとか、勝者側の正当性を認めておとなしく引き下がったとか、現代でそういう解釈をされている人物ってのは眉に唾つけて見なきゃならないと思う癖がついてきたし、そういう意味では作品タイトルを見たりとかあらすじを読んだ時点で、「あー、なるほど。この人が勝者に嵌められたり、功績を捻じ曲げられたりしてるんだな」とかがだいたい想像つくのですよ。




しかし今回のテーマは菅原道真。




政敵・藤原時平の讒訴によって太宰権帥へと左遷され、日本三大怨霊にも連ねられる立派な(?)怨霊ですよ。




まあQEDでも将門とかやってたし、そういう話になるのかなと思ったら、まさかの「道真は怨霊じゃない」説。




かなり斬新な切り口でした。




確かにそう言われてみれば、崇徳上皇・平将門という強烈なインパクトの2人に比べれば、道真はいかにも弱い・・・




指摘されるまで気付かなかった自分が悔しいです・・・・・・




歴史薀蓄もかなり面白かったのですが、物語も結構怒涛の展開。




続きが楽しみです。













とか言いながら、この続きをもう読んでたり・・・・




早いことレビュー書かなくちゃなぁ(-_-;)