56冊目
「天狗岬殺人事件」
山田風太郎
角川文庫
- 天狗岬殺人事件 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)
- ¥860
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中学生の島崎八郎には、奇妙な卒倒ぐせがある。
あらゆる“揺れるもの”に悪寒を催す「ブランコ恐怖症」なる持病のせいだ。
またもや卒倒したある日、八郎は亡き母の面影を重ねる黒羽根先生に助けられ、家に帰り着く。
その夜、ふと眼醒めた時に聞こえてきた、先生と父の話し声。
八郎の強迫観念に隠された、哀しくも戦慄すべき過去が明かされてゆく…
表題作「天狗岬殺人事件」を含め、初文庫化作品17篇を収録した珠玉の風太郎ミステリ傑作選。
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4つのパートに分かれて、
PART1
「天狗岬殺人事件」
「この罠に罪ありや」
「夢幻の恋人」
「二つの密室」第一話・超名探偵
第二話・大完全脱獄
PART2
「パンチュウ党事件」
「こりゃ変羅」
「江戸にいる私」
「贋金づくり」
PART3 女探偵捕物帖
「三人の辻音楽師」
「新宿殺人事件」
「赤い蜘蛛」
「怪奇玄々教」
「輪舞荘の水死人」
PART4
「あいつの眼」
「心中見物狂」
「白い夜」
「真夏の夜の夢」
という豪華17編が納められた、これまで文庫化されていなかったものばかりを集めた短編集です。
PART3を除けば全てが非シリーズもので、様々な山風ワールドを存分に味わうことが出来ました。
これまで文庫収録されていなかった作品ばかりということで、雑多な内容で出来具合も正直ピンキリなのですが、全体を通してみれば十分に満足に足る内容でした。
表題作の「天狗岬殺人事件」をはじめ、PART3の女探偵捕物帖、「あいつの眼」「心中見物狂」なんかは、昏い雰囲気と隠微な気配が見え隠れする良編だし、「こりゃ変羅」や「二つの密室」みたいに馬鹿馬鹿しくもおもしろく、でもやっぱり馬鹿馬鹿しいステキな掌編もあるし、と盛りだくさん。
以前に「虚像淫楽 」の記事を書いたときにも言ってますけど、山風再読願望が更にふつふつと湧いてきました。
短編は去年1年で2冊読んだから、長編が読みたい!
でも積読が!!
とはいえ、厳選して1冊くらいは再読してしまいそうな今日この頃です。
どれ再読しようかなー♪