自転車2 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

以前の記事でも触れた、通勤に自転車を使い始めた私と、そこはかとなく残念な我が愛車の話です。




6段変速付きのそこそこノーマルクオリティな我が愛車なので、カゴとか、ベルとか、ライト(でもオートライトじゃなくて前輪の回転で発電するタイプ)(てか、夜でも点けないけど)とか、一応ひと通りのオプションアイテムは揃ってるのですよ。




まあ、変速以外はほとんど使うこともありませんが。




奈良県の中ではかなり発展している部類に入る我が職場最寄りの駅は、それなりに人が多いのでございますよ。




なので、週末の22時23時となると、結婚式の2次会3次会帰りであろうめかしこんで引き出物袋を提げたテンションの高い集団が、駅前をうろうろしているのですよ。




アルコォルももちろん入っているので、注意力は散漫。




歩道の端を歩いて他の歩行者や自転車の気遣いをするなど、全く持って期待できないような連中です。




んで先日のこと。



そんな酔っぱらいの群れが、歩道一杯に横並びになって歩いていたのですよ。




折しも天気は小雨模様。




ああ、雨が冷たいなぁ。早く駐輪場まで辿り着きたいなぁ。




前に居る、歩道を塞いでいる連中邪魔だなぁ。爆発四散すればいいのに。通りたいから端っこに寄ってくれないかなぁ。




そう思いながら極限減速モードでチャリチャリと連中の後ろを歩いていると、私と連中の間に、横断歩道を渡ってきた女性が入ってきました。




私と同じ進行方向だった彼女は、私と同じく、連中の肉の壁があるせいで、先を急げない状態に陥っていたのです。




そして私は、このグズグズに煮詰まった状況を打破する方法を思いついたのです。




そう、自転車のベルです。




普段自転車に乗っている人でも、そう使う機会のない自転車のベル。




オバちゃんの乗っている整備不良な自転車のブレーキ音に次ぐ、『自転車で出せる、周囲の人間に注意を喚起する音』ランキング第2位に君臨するあのベル音を、鳴らす機会は今しかない、と。




しかも今なら前の女性が鳴らしたかのように装うこともできるし。同じように困っている女性のためにも、ここは私が義憤を示す時ではなかろうか!




そう奮起した私は、我が愛車のベルに指を掛け、ぐっと引き絞ったのでした。









じゃり。じゃり。(金属音)








何と。我が愛車の、新車である我が愛車の、記念すべきファースト・ヴェル(初ベル)は、金属と金属が打ち合わせる綺麗な反響音ではなく、ただ、金属と金属をこすりあわせた鈍い音にしかならなかったのです。




あまりのことに茫然自失し、2度引き絞った後、3度目を試行する気力すらなくなった私を尻目に、後方から迫ってくる自転車女性に気付いた引き出物袋集団は歩道の端に寄り、私は自転車女性に便乗して、その隙間を走り去ったのでした。




それからというもの、私は恐ろしくてベルに指を掛けることすらできなくなったのです・・・








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人間、新しいことを始めれば新しい気付きがあり新しいネタがあるもの。




自転車ネタは今後しばしば発生するかもしれません。