27.「マリアビートル」伊坂幸太郎 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

27冊目
「マリアビートル」
伊坂幸太郎
角川書店



マリアビートル/角川書店(角川グループパブリッシング)
¥1,680
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元殺し屋の「木村」は、幼い息子に重傷を負わせた相手に復讐するため、東京発盛岡行きの東北新幹線“はやて”に乗り込む。


狡猾な中学生「王子」。


腕利きの二人組「蜜柑」&「檸檬」。


ツキのない殺し屋「七尾」。


彼らもそれぞれの思惑のもとに同じ新幹線に乗り込み――


物騒な奴らが再びやって来た。


『グラスホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。




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読む前から帯とかで「グラスホッパー」の続編だと聞いていたので、前作に出て来た奴らが何人か出てくるんだろうか、なんてわくわくしながら読み始めました。




そしたら、「鈴木」は出てくるし、「鯨」「蝉」「スズメバチ」「令嬢」「寺原」なんていう名前も登場人物たちの会話に登場するし、新幹線には乗ってないものの「菫(あさがお)」までもが登場!




端々で語られる「グラスホッパー」とのリンクに、テンション上昇。さっくさくと読み進め…られるかと思いきや、ちょくちょくペースが落ちてしまいました。




なぜかというと、「王子」がひたすらゲスいんです。




基本的にこの物語は、「木村」「王子」「果物(蜜柑と檸檬)」「天道虫(七尾)」という4つの主観が入れ代わり立ち代わりする形式なのですが、「王子」のパートを読むのがしんどくてしんどくて、何度か本を閉じてしまったくらいです。




うーん、残虐描写は全然大丈夫なのだけど、こういうただただ開陳される悪意、っていうのはちょっと苦手かもしれません。




「王子」に罪の意識(もしくはうしろめたさ)が全くないのも原因かもしれないなぁ。




他の奴らには多かれ少なかれ与えられてる「ユーモア性」ってのが皆無なんですよね、「王子」は。




まあ、だからこそトリックスター的な立ち位置で物語を面白くしている、ってのはじゅーぶん分かるのですがねぇ。




私に耐性が無かったってだけの話なんでしょうけど。




終盤は散らばってたエピソードが一気に収束して、まさかまさかの展開。そしてキレイなオチ。




さすがは伊坂さんだなーと思いながらも、頭の片隅では「王子」の人間性についてモヤモヤ・・・




気にならない人は気にならず、さくさく読み進めてしまえるとは思いますけどね。




あくまで個人的意見なのであしからず。