11.「虚像淫楽」山田風太郎 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

11冊目
「虚像淫楽」
山田風太郎
角川文庫




晩春の夜更け、聖ミカエル病院に瀕死の女性が担ぎこまれた。

女はかつて病院で看護師を務めていた森弓子で、昇汞(しょうこう)を呑んでしまったという。

千明医学士は手当てを始めるが、弓子の肢体に数条のみみず張れを発見する。

直後、弓子の夫が同じく昇汞を呑んで自殺。

夫婦に何が起こったのか?

刻一刻と弓子の様態が悪化する中、驚愕の真相が明らかになる…(『虚像淫楽』)

探偵作家クラブ賞受賞の表題作を含む初期ミステリー傑作選。




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「眼中の悪魔」「虚像淫楽」「厨子家の悪霊」「臘人」「黒衣の聖母」「恋罪」「死者の呼び声」「さようなら」「黄色い下宿人」の9編が収録された、ミステリー系短編集です。



以前『読んだ本で50音』をやった時に「厨子家の悪霊」(これもミステリー系短編集)を挙げたことからも分かるように、何作かは既読のはずなのですが、そんな記憶は遥か遠くにあり、まるで初読のように楽しく読むことができました。



山風を読んだのは久しぶりだったのですが、やっぱり好きだなぁ、こういうの。



戦後という時代がまず良いし、今ではトンデモ学説になっている当時最先端の医学知識が物語に組み込まれてて、思わず背筋が凍るような展開になるのもいい。



殺人淫楽症やらサヂズムやらマゾヒズムやら、そんな淫靡な言葉が飛び交っているのも凄く好みだし。



作品としては、「眼中の悪魔」や「死者の呼び声」「臘人」あたりが、ミステリーとホラーとエロティズムが渾然一体となってて好きです。



特に「臘人」は、若干山風忍法帖チックな話でもあり、ミステリー色は薄いものの、名作でした。



ああ、やっぱり山風ミステリーは楽しい。過去に読んだ作品も読み返したい。



「十三角関係」「太陽黒点」「夜よりほかに聴くものもなし」「誰にもできる殺人」「青春探偵団」etc.etc...



ああ、遠い記憶の中、面白かったことだけは覚えてるから、再読したいなぁ。



この「虚像淫楽」をはじめとして、角川文庫で出てるベストコレクションいいなー。カバーも田島昭宇さんの美麗な絵だし、全巻揃えたいなー。



……と、思わなくもないのですが、さっき挙げた再読したい本たちは・・・・・






きっと探せばウチにある。



たぶん、どこかの段ボールの奥底に眠ってる。






ああ、どうあっても本の整理整頓はせねばならないようだなぁ。



まあ、3ヶ月計画くらいでひとつご勘弁を……。