71.「天帝のあまかける墓姫」古野まほろ | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

71冊目
「天帝のあまかける墓姫」
古野まほろ
幻冬舎




探偵小説の神の無情な悪戯か、高校3年生・古野まほろが乗った政府専用機は、大虐殺の末ハイジャックされてしまう。

地上4000メートルを切ると大爆発を起こす空飛ぶ密室のなか、やはり連鎖してゆく殺人と裏切り。

14の「読者への挑戦」、そして探偵たちの推理合戦の果てにまほろが見るものは?



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列車、孤島、戦艦、という密室状況で殺人事件に遭遇してきたまほろが次に活躍するのは、何と超音速の政府専用機内。



大虐殺ののち、ハイジャック犯と人質(パイロット含む)あわせて20人に満たないという状況下で、予期せぬ殺人が。



人質の中に潜む内通者。

ハイジャック犯の中に潜む離反者。



乱れた麻の如きこの状況を断ち切るのは、論理という鋭い刃のみ。



そして、探偵小説の神によってその刃を振るうことが赦されたおとこは、古野まほろ、唯1人。



いけいけまほろ。

がんばれまほろ。

ただし、活躍するのは首から上だけでいいからね!(特に性的な意味で)






というわけで、幻冬舎に移籍して心機一転。久々刊行の天帝シリーズ第5弾です。



あああ、まほちゃんが元気に「うげら」とか「めるど」とか言ってるよ嬉しいなぁ、と復活してくれただけで大満足ではあったし、二転三転する展開にもクラクラしたのだけど、全体的にはちょっと抑え気味だったんじゃないかな、という印象。



もっとルビ過多でもいいのに。もっと脇道逸れまくりでクソ分厚くしてくれてもよかったのに。と、何やらマニアックな願望が浮かんでしまいました。



まあルビは、幻冬舎移籍で今作が初見って人も多いだろうからそのせいかも。脇道逸れまくりは、人質という条件下では厳しかったかな。ストーリー上、いつもよりまほろと同世代の登場人物を少なくせざるを得なかったから、幕間的なシーンも少なかったし。



というわけで結論としては、「もっと尖ってくれても、全然構わないのに」という感じ。



まあまだ続編があるだろうし、それを楽しみに待ちまする。



買って手付かずの、改訂版「天帝のはしたなき果実」も読まなきゃなー。