37冊目
「1000の小説とバックベアード」
佐藤友哉
新潮文庫
27歳の誕生日に仕事をクビになるのは悲劇だ。
僕は4年間勤めた片説家集団を離れ、途方に暮れていた。
(片説は特定の依頼人を恢復させるための文章で小説とは異なる)
おまけに解雇された途端、読み書きの能力を失う始末だ。
謎めく配川姉妹、地下に広がる異界、全身黒ずくめの男・バックベアード。
古今東西の物語をめぐるアドヴェンチャーが、ここに始まる。
三島由紀夫賞受賞作。
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このあらすじでは何のことか分からないと思います。
ただ、詳しく書くと長ーくなるんですよ。
とりあえず、
小説が好きな人
小説が嫌いな人
小説が必要な人
小説が必要じゃない人
小説を信じている人
小説を信じられなくなった人
そんな色んな人が、小説に悩み、小説に狂い、小説に翻弄される、そんな話です。
三島由紀夫賞を受賞してることからも分かるように、分野としては純文学です。
なのでやっぱりある程度は難解だし、万人が受け入れられる内容ではないと思います。
だから、個人的にはとても面白く読めましたが、軽々しくオススメとは言い難い作品です。
小説が好きで好きで、
小説を読んで読んで、
その結果、ひねくれた視点で小説を見てしまうことがある、という自覚が多少たりともある人には読んでみて欲しい作品ですね。
最後に、とある登場人物が発した、印象深いセリフを紹介しておきます。
ぐっと来た人には、この本に向いているかもしれません。
「あなたは幸せ者なの。まっすぐな心を持った幸せ者なの。おすすめの本や、売れている本を、正しい気持ちで読める幸せ者なの。(中略)それはすばらしいことだわ。本当にすばらしいことだわ。皮肉じゃなく。」