20冊目
「死亡フラグが立ちました!」
七尾与史
宝島社文庫
「『死神』と呼ばれる殺し屋のターゲットになると、24時間以内に偶然の事故によって殺される」
特ダネを追うライター・陣内は、ある組長の死が、実は死神によるものだと聞く。
事故として処理された彼の死を追ううちに、陣内は破天荒な投資家・本宮や、組長の仇討ちを誓うヤクザとともに、死神の正体に迫っていく。
一方で、退官間近の窓際警部と新人刑事もまた、独自に死神を追いはじめていた…。
第8回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。
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良い意味でB級色に溢れた作品でした。
使い方を間違えると物語全体が陳腐になる「可能性の殺人」が、『死神』という要素を加えることによってうまい具合に機能していました。
(注釈:「可能性の殺人」…うまくいけば殺害できるかもしれない、程度の期待値で行う、殺人に繋がる行為。
例えば、ターゲットがいつも通る階段の踊り場を滑りやすくする等々)
巻末の解説によると、応募した内容がだいぶ長々としていたらしく、出版に際してかなりの部分をカットしたらしいのですが、正直言うともうちょっと長くてもよかったな、という印象を持ちました。
その長いバージョンを読んでないので何とも言えないのですが、本来はタイトルにあるように「死亡フラグ」を立てた人が死んでいく展開だったと思うのですが、短くしたせいでそのあたりも端折られたんじゃないかな?
そのせいか、あんまり「死亡フラグ」と言える箇所がなかったような気もします。
軽やかな文体とサクサク進む展開で飽きずに読めたので、もっと長くても全然大丈夫だったのになぁ。
機会があれば他の作品も読んでみたいと思います。