19冊目
「バイバイ、ブラックバード」
伊坂幸太郎
双葉社
星野一彦は知らぬ間に怒らせてはならない人物を怒らせてしまったらしい。
何が逆鱗に触れたのかは分からないが。
そのため、「あのバス」へ乗せられることとなった。
詳しいことは不明だが、過酷なところに連れていかれるらしい。
「あのバス」が来るまで2週間。監視役として派遣されてきた縦も横も態度も大きい女性・繭美に、星野はダメ元である希望を伝える。
付き合っている5人の女性に別れを告げに行きたい、と。
予想外に許可はおりたものの、繭美が同伴すると言い出して…
太宰治の未完の絶筆「グッド・バイ」から想像を膨らませて創った、まったく新しい物語。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
ああ、いいなあこの話。
極論すると星野が(繭美も付いてくるけど)女性に会いに行って別れ話をする×5、ってだけの話。
なのだけど、それがきっかけとなって彼女たちの中でわだかまっていたことが少し良い方向に動く。
奇跡と呼べるほど大それたことが起こるわけではないけれど、それがいい。
星野も繭美もいいキャラしてるし、5人の女性も魅力的。
そして脇を固める不知火刑事やサイボーグマネージャーなどが濃すぎるくらいいい味を出していて最高でした。
本筋から外れた部分を敢えて説明しない描きかたも、ラストシーンもとても好み。
歴代の伊坂作品でもかなり上位にランクインする作品でした。
映画化してほしいなぁ。
希望キャストは、星野が濱田岳、繭美はマツコ・デラックスで!