8冊目
「クリプトマスクの疑死工作」
上遠野浩平
祥伝社ノンノベル
『ペイパーカットの正体を知っている』
財界の首領・東澱久既雄に沙遊里は言い放った。
強大な権力者の東澱でも捕らえられない存在――生命と同等の価値のあるものを盗む怪人を俳優の少女がなぜ!?
情報提供の見返りは、カリスマ映画監督だった父の遺作の解明。
撮影前に不審死を遂げ、ストーリーが謎のままなのだ。
私立探偵の早見と保険会社調査員の伊佐は調査に乗り出す。
だが、スクープ屋やヤクザを従える老俳優も行動を開始。
そこに飴屋という不思議な男も加わって…
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ソウルドロップシリーズの5作目です。
何かここに来てペイパーカット現象の概念を根本から覆しそうな展開になってきていて、ちょっと理解が追い付かないです。
まあ元々説明はされていない現象なので、概念を覆すというよりも、これまで仄めかしていた方向とは違う切り口でペイパーカット現象を表現したという感じなのかな?
しかしまあ、このシリーズはどんな風に着地するんだろうか。全く見当がつかないけれど…。
そんなこんなでいつもと違った雰囲気の作品でした。
普段はほとんど行動を共にしている伊佐と千条が、ほぼ別行動だったのも新鮮でしたね。
二人のやりとりが無いぶん奈緒瀬のキャラが光ってて、そのツンデレっぷりにはやられました。
どんどんいいキャラになってるなあ、このお嬢様は。
次作にも期待したいですね。
最初に言ったように一読しただけではなかなか理解が及ばない内容なこの作品ですが、それはこの一連のシリーズでの今作の立ち位置に関しても同じことが言るような気がします。
この物語や登場人物が、これからのストーリー展開に密接に絡んでくるような気もするし、ちょっとしたアナザーストーリー的な扱いになって前作までのストーリー展開に戻りそうな気もするし。
うーん、気になるなぁ。
次回作を期待して待ちましょう。