81.「赤朽葉家の伝説」桜庭一樹 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

81冊目
「赤朽葉家の伝説」
桜庭一樹




“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。
千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く一族の姿を鮮やかに描き上げた稀代の雄編。




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桜庭さんの本を読んだのは初めてだったのですが、これがもうえらいこと面白い。



心の内面をあまり描いていないような文体なのに、キャラクターのしっかりした登場人物たちが縦横無尽に動き回っている印象を受けたのが何か不思議でした。



物語は、祖母・万葉、母・毛鞠、私・瞳子がそれぞれメインの3つの章に分けられているのですが、その中では万葉の章が一番好きでした。



そして脇を固める人物たちも魅力的。



特に万葉の義母・タツと、万葉の幼い頃からの友人・みどりがいいキャラしてて。



だから2人の出番が多い万葉の章が好きなのかもしれないですね。



毛鞠と瞳子の章が面白くないというわけではないんですがね。



毛鞠の章は単行本化される時に大幅なカットをされたそうで、そのカットした部分をアレンジした「製鉄天使」という本も出てるみたいで、読んでみたいのですが、ちょっと保留。



文庫化しないかなぁ。