48冊目
「名探偵はどこにいる」
霧舎巧
双子姉妹の密談から物語は始まる。
一人の少女が、もう一人をたしなめているような雰囲気だ。
「ばれるとか、ばれないの問題じゃないでしょう。あたしたちがしようとしていることは、いままでのこととは違うのよ」
いままでに彼女たちは、よく立場を入れ換えて周りの人たちをからかっていたようだ。
しかし、最終的にはたしなめていた側が折れることで話は終わる。しかし、最後に釘を刺すことは忘れなかった。
「肝に銘じておいてよ。あたしたちがやろうとしているのは・・・殺人なのよ」
そして彼女たちは南海に浮かぶ終ノ島へと向かい、やがてその島で彼女たちの通う高校の男性教諭が死体となって発見された。
22年後。キャリア警察官の今寺敬二は、高校時代の知人からの要請を受け、真相の解明を依頼される。
しかし、もし殺人であったとしても事件はもう時効。
その上、事件の真相そのものは20年前に、今寺の敬愛する今は亡き後動警部補が解き明かしていて、姉妹も認めていたという。
ならば今寺に求められていることは何なのか。
そして事件の真相とは・・・
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「名探偵はもういない」と繋がる、「空かずの扉研究会」番外編第二弾。
ということですが、ぶっちゃけ記憶が遠すぎて前作のことはあんまり覚えていなかったり・・・。
刑事と少年が居た記憶はあるから、刑事が後動で少年が今寺だったということだろうか。うーん、記憶力が衰えているなぁ。
これはまた緻密なものを。というのが印象。
前半の、今寺敬二高校時代の話等はそれなりにコミカルなのですが、全体的にはシリアス路線。
誤解を恐れずにいうのならば、真相もそんなに目新しいものではないし、ストーリー展開も地味め。
だけれども、緻密で丁寧な筆致でぐいぐい読み進めることが出来ました。
「あかずの扉研究会」や「霧舎学園」など青春ミステリーのイメージが強い霧舎さんですが、こう言うのもいいなぁ。
そういえば前に読んだ「新本格もどき」も面白かったし。
もう一作続きがあるとのことなので、気長に待ちたいと思います。