13冊目
「ZOKURANGER」
森博嗣
民間企業の研究所勤務だったロミ・品川は、転職して大学の准教授となった。
大学は異世界。民間企業と同じような考えは通用しない。そう周囲に言われ、自分でも分かっていたつもりだったが、現実はそのイメージを上回るものだった。
自ら学費を支払って学びに来ているはずが、やる気を全く感じない学生達。タイムカードも何もなく、曖昧であっても受容される教授、准教授や講師たちの出勤状況。等々。
その中でも最も不可解なのが、数限りなく存在する『委員会』。
品川もいくつかの委員会に在籍させられているが、やることといえば資料を配布されてその内容を委員長が読み上げるくらい。質疑応答の時間もあるにはあるが誰も手をあげないので、新参者の品川も何も言わないでいる。そもそも何も言うべきこともないのだが。
その中のひとつである『環境改善委員会』は今日が初会合。品川の他に五人の委員が参加し、他の委員会同様弛緩した雰囲気の中始まり、そして終わった。
しかしその後、委員会メンバが「ユニフォームを作るので採寸させてほしい」と品川のもとを訪れる。
スタッフジャンパーのようなものかと承諾するが、太もものサイズを計るなど何やら雲行きが怪しい。
そして出来上がったユニフォームは、黄色の全身タイツのような衣装と、同じ色のヘルメット。それはまさに○○レンジャーという呼称するしかないようなものだった…
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「ZOKU」「ZOKUDAM」に続くZシリーズ第三巻にして最終巻。
とはいえ、前作同様、共通しているのは登場人物の外見と名前だけで、話としては繋がっていません。
しかしまあ、このシリーズは形容しにくいことしにくいこと。
元々作者の意図なんてものは、なかなか読者側からは分からないもんですが、このシリーズは特にそうです。
内容がなかったり、オチがオチっぽくなかったり、何を言いたいのかよく分からなかったり、そういうものを元々目指しているかのような書き方です。
初めて森作品を読む、とかいう人にはあんまりお薦めできません。
帯にひとこと書いておいた方がいいんじゃないかなぁ。
「森博嗣初心者にはお薦めできません」
とか、
「(同じ系列でもまだ分かりやすい)水柿シリーズを先に読んだ方がいいですよ」
とか。
ともあれ、この作風に慣れ親しんでいる人にとっては十二分に楽しめる内容でした。
シリーズ終わるの勿体ないなぁ。