5.「難民探偵」西尾維新 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

5.「難民探偵」
西尾維新



窓居証子は就職難民である。
大学在学当時から数々の就職試験に落ち続け、卒業後もその状況に変わりはなかった。



ひたすら就職活動に勤しみ、足掛けのつもりで始めたアルバイトは理由もそのまま『足掛け気分で働いている』という理由で解雇。新たに始めたバイト先である書店は、ある日唐突に閉店してしまった。



学生時代から一人暮らしをしていることもあり、家賃も払えない状態になった証子は実家へ援助を頼むが、代償として見合いをするようにといわれる。



それに反発し、最後の手段と泣き付いた祖母が渋々ながら斡旋してくれた働き口は、父の弟である人気小説家・窓居京樹邸での住み込みバイトだった。



もとより他に選択肢はなく、高額納税者で金銭感覚に難がある叔父・京樹の秘書(あるいは電話番)のような仕事をするようになった証子だったが、京樹のズレた金銭感覚や条件のよすぎるこのバイトに関する不安を抱く。



『このままだらだらと過ごしていれば自分が駄目になる』そう思い、これまで以上に就職活動に精を出すが現実はそう甘くない。



そんなある日、京樹宛に警察から電話がかかってくる。任意同行をした男が身許引き取り人として京樹を指名したらしい。



行くのを嫌がる京樹の代わりにその男・根深陽義を迎えに行くことになった証子に京樹はこう言った。



彼は『難民探偵』と呼ばれています・・・




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西尾維新が書く新しいスイリ小説。



とかなんとか惹句として書いてありましたが、読み終えた感想としては、



書いたのが西尾維新と知るとちょっと不満。



既読の『トリプルプレイ助悪郎』とかでもそうだったけど、西尾さんはキャラ設定とかストーリー展開に比べると、ミステリー的トリックは普通なんだよねぇ。



その上、キャラクターとしてもあんまり強烈な個性はなかったので消化不良感がありました。



まぁ、基準になってるのが戯言使い系や化物語系なので、それを望んじゃいかんだろ、と我ながら思いますが。



一番興味深く読めた部分は、在学中から現在に至るまでの証子の就活惨敗史。かなり他人事じゃない感じがします。怖い怖い。



これからシリーズ化はしなさそうだけど、そうなるとおもしろくなる、かも。