58.「オルフェの方舟」上遠野浩平 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

58冊目
「オルフェの方舟」
上遠野浩平



須磨貞夫は「クレイム・クラブ」のメンバーである。「クレイム・クラブ」とは統和機構の情報を交換し合う小規模な集まりで、貞夫は、理不尽なリストラやその後の就職を妨害された父親の周囲にちらついていた統和機構という影をみつけ、このグループにたどり着いたのだった。



創設者の六嶺平蔵をはじめ、一癖も二癖もありそうなメンバーたちを利用し、何とか統和機構へ近づこうとする貞夫だがなかなかに前途は多難であった。



一方その頃、幼なじみの貞夫に好意を抱く杉乃浦春海は、強引に誘われ断り切れなかったクラスメイトとのデートの最中、相手の男を自分の能力で殺してしまう。



「ワン・ホット・ミニット」と名付けたその能力はとても強力で、「世界の敵」になるほどのものではあったが、その破壊衝動は春海を探しにきた貞夫と出会った途端に消えてしまった。



それは全く「消えた」としか言えない状況で、ブギーポップですら誰が「世界の敵」か感知できないほどのものだった。



翌日、再び能力を発現した春海は、妨害する敵を倒しながらある場所へ向かう。



その後にブギーポップが迫る。
そして春海を助けようと、貞夫も後を追っていた。



現世に居てはならない程の力で、これまでの日常とはかけはなれた所にまで一人で踏み込んでしまった春海を、貞夫は救うことができるのか。
それともギリシャ神話のオルフェウスのように、その望みは頓挫してしまうのだろうか…。



……………………



おぉう、えらいことになってる。



と言うのも「ホーリィ&ゴースト」や「ロスト・メビウス」、「ビイトのディシブリン」といった他作品と時系列がかぶったり、その時の登場人物が出てきたりするので、色々と新しい発見があって楽しい。



一粒で二度どころか何度もおいしい素敵な趣向です。



これで本編はあと一冊で、最新刊に追い付いてしまう。
早く読みたいけど、勿体無くもあるなぁ…。