51.「十三の呪」三津田信三 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

51冊目
「十三の呪 死相学探偵1」
三津田信三



弦矢俊一郎には幼少の頃より、人間に取り憑く「死の影」とでも言うべきモノを見る力があった。



祖父母の元でその力の扱い方を身に付けた俊一郎は、東京に出て探偵事務所を設立した。



祖父の言によると、死の影を見る力で幼い頃から拝み屋である祖母の仕事を手伝っていた俊一郎には、知らないうちに相当なコネクションが出来上がっており、依頼者には事欠かないだろうとのこと。



その言葉の通り、設立早々依頼人がやってきた。



アイドル顔負けの容姿を持つ、内藤沙綾香という若い女性を目の当たりにした俊一郎の第一声は、



「帰ってくれませんか」



だった。彼女には死の影は全く見えなかったのだ。



しかし数日後、再び弦矢探偵事務所を訪れた沙綾香には禍々しい死の影が取り憑いていて…。


・・・・・・


分かりやすい伏線が張ってあるな~と思ったら最後にやられた。



あんまり論理を主体とした謎解きではなかったけど、あくまでホラー主体の話だし、突っ込むべきではないかな。



別の突っ込みどころとして、ウケを狙ってるのか狙ってないのか微妙な感じの言い回しが笑いを誘う。



「若いのにそんな古い言葉をよくご存知で」
「祖父母と暮らしていましたので」
「ああ、それで…」



こんなの普通、『皆を集めて「さて」と言』ったあとに出る会話じゃないし…。


あと、自分の特殊な力のせいで周囲から疎外されていた俊一郎には対人スキルが皆無、というのも面白い。今回はたまたま、非協力な人達が早めに退場していったので事なきを得ているものの、みんなが非協力的だったりしたらどうするんだろ。次回の楽しみのひとつです。



俊一郎の過去も曖昧な記述がちらほらあって続きが楽しみです。