今年も原爆の日がやってきました。とかつらつら書いてる間に日付が変わってしまいましたことをお詫びします。
さて、報道番組は今年も、慰霊式典の様子をはじめとして色々な特集を組んでいます。
被曝者の方々にはもちろん同情を禁じ得ませんし、戦争なんて無いにこしたことはいですし、オバマ大統領の核廃絶宣言がもし実現すればすばらしいことだとは思います。
でも、それにしても毎年毎年、報道番組を見ていて、足りない視点があるように思えて仕方ないです。
それは加害者の不在。
いわずもがなのことですが、現在の教科書で「太平洋戦争」と名付けられている戦争の中で、アメリカが日本への本土攻撃の一環として使った兵器が原爆(原子爆弾)です。
アメリカが加害者です。
ここは結構重要なポイントだと思うのですが違うのでしょうか?
某報道番組内では、オバマ大統領のプラハ宣言の一節を紹介していて、「唯一核兵器を使用した国として核兵器廃絶を…」というシーンがあるので、一応アメリカがやったものだと分かるといえば分かるのですが、加害者を匂わせたのはそこだけでした。
調べたわけではないですが、他の番組でもきっと同じような感じでしょう。毎年そうですから。
広島でも長崎でも沖縄でも、他の米軍に空爆された国内の都市(うろ覚えですが五十八都市でしたっけ?)でもそうですが、どうも天災のように被害を語る切り口が多いです。
沖縄では米軍の激しい空爆を「鉄の暴風」とかいうみたいですし。
そういや某人気マンガに「空爆の障害は想像力だね」というセリフがありました。マンガ内では加害者側に対してのセリフでしたが、これは被害者側にもどうやら有効な言葉のようですね。
閑話休題。
原爆(に限らず兵器はみんなそうですが)はあくまで人為的なものであり、だからこそ行使するのを防ぎ得るし、廃絶し得るものです。
それが地震や台風との大きな違いです。
だったら原爆を投下されたこの日にこそ、天災とはまた違う「人災」の恐ろしさをアピールすべきなのではないでしょうか。(そういえば番組では「投下」という表現もなく「爆発」だったように記憶しています)
もちろんアメリカは嫌がるでしょうし、それに気を使っているのはわかります。
でも、新たな「人災」を防ぐためには、被害者だけではなく加害者のことも頭に入れておかねばならないのは、当たり前だと思います。
二度と殴られないように、ニコニコヘコヘコしてても、殴ってくるやつは殴ってきます。
それを本当に防ぎたいのなら、殴られた方のことだけではなく、殴った方のこともともに考えなくては不可能です。
それは、日本が全て悪いという歴史観でも、アメリカを含む連合国が全て悪いという歴史観でも、五分五分だという歴史観でも関係のないことです。
そんなこともできないようなら、核廃絶など夢のまた夢。実現できません。
もしできたとしても、その時中心に居るべき、唯一の被曝国である日本は、蚊帳の外に追いやられていることでしょう。
その辺を考えた報道を願うのは、無理なことでしょうか。
今年からオバマが退任するまでがチャンスです。今アメリカは原爆に対して今まででは考えられないくらいに真摯な姿勢をとろうとしています。
今こそ、やった側とやられた側が協力して、他の核保有国を含む「核未使用国」へアピールすべき時だと思います。
そして、その尖兵となるべきは民間のメディアなのではないのでしょうか。
そんなこともできないようなら、北朝鮮が日本に核を撃ち込んでその慰霊式典が行われるときも、今のポリシーを忘れず北朝鮮の「き」の字も出さない報道を心掛けていただきたいと思います。