9冊目
「残酷号事件」
上遠野浩平
事件シリーズ5作目。
背表紙にも書いてある通り、ファンタジー×ミステリーというジャンルで、舞台となる世界は現実世界では「科学」にあたるものが「魔法」になっているような世界。
ガスコンロはないけれど、「火の魔法の呪符」を使って調理をしているので火を起こす必要はない。
銃やミサイルはないけれど、魔法を仕込んだ槍や魔導士部隊による広範囲な攻撃魔法の威力は、兵器にもひけをとらない。
そんな世界。
とある国で、これまでの戦争を根底から覆すような新しい魔法が秘密裡に研究されていた。秘密にしているのは、研究の成果が他国に漏れないようにすることも理由のひとつだが、もうひとつの理由があった。
多くのいけにえを必要とする研究は、国際世論から間違いなく非難されるからだ。
その研究所は事故により制御不可能になり、破壊措置がとられた。その時、実験エリア内から現れた異形の怪物が後に残酷号と呼ばれる存在であった。
人々の悲鳴があるところに現れ、あっというまに敵を無力化する残酷号。
残酷号の目的は何なのか?
そもそも残酷号には意思と言えるものがあるのか?
もし無いのなら、誰かが何らかの目的のために残酷号を操っているのではないか?
その答えが徐々に解き明かされていく。
さっき書いたように「徐々に」ときあかされる、っていうのと、「謎」が何らかの『事件』じゃなくて、残酷号騒動という一連の『事象』っていう曖昧なものになってるから、ミステリ性はちょい低め。
でも最後はきっちりおさまりがついてスッキリしたけど。
一作目の「殺竜事件」が一般的なミステリーの体裁やったから、ついついそっち系かと思ってたのでちょっと肩透かし感があったけど、それを差し引いてもおもしろかったです。
てか前作までの細かいところをかなり忘れてる。
また再読しないと。