監督:中田秀夫
公開:2002年
制作国:日本
【概要】
Jホラー。典型的な怨霊もの。マンションの屋上の貯水タンクで溺死した少女の霊に追いかけ回させる日本的ホラー。「水」の怖さが効果的に描かれているが、少女の霊美津子の登場あたりから急激に物語は減速し、ジャパニーズホラーで最も(私が)苦手なぐだぐだした親子愛のような生温い空気感に包まれてしまう。
【論点】
◎日常に潜む恐怖問題
ジャパニーズホラーが評価されているひとつの理由として「日常に潜む恐怖」のようなものを利用して視聴者の恐怖を煽る手法がある。テレビ、携帯、布団や風呂場など、普段何気なく利用しているものが恐怖の世界とつながってしまうプロットはJホラーの十八番である。多くのJホラー小道具に共通するのは「孤独感」。テレビを観ているとき、携帯を弄っているとき、シャワーを浴びているとき...後ろに誰か立っていたら?などと妄想してしまったことは経験があるだろう。
この「仄暗い水の底から」では「水」と「エレベーター」が効果的に恐怖を煽っている。
特にエレベーターは映画「呪怨」でもかなり効果的に使われていたが、極端に密室空間でありどこにも逃げることができない。また、エレベーターの扉が閉じられた閉じられた瞬間、外の世界からは隔絶されてしまうため、映画のなかでは次に扉がひらくときそこが果たして目的の現実世界なのかどうかさえ怪しい。
日本の集合住宅ではエレベーターのドアに窓がついており、降りる前に外の様子が確認できることが多い。目的の階に到着するまでは同じような景色の繰り返しが流れていくだけだが、現実のものなのか永遠に繰り返される異世界に迷い混んでしまったのか。
◎美津子ダサすぎ問題
非常に良いホラーポイントがいくつもあるにも関わらず、美津子がエレベーター内で淑美を襲うあたりから物語は急激に減速する。なにしろ美津子の造形があまりにも安っぽく、失笑してしまうほどである。ラスト15分は特に恐ろしいシーンがあるわけでもなく、無駄な親子愛を語り出してしまいとてつもなく残念な展開になってしまっている。日本のホラー映画でどうしても気に食わないところは、下手に親子愛や友情・兄弟愛・仁義などで二次的にストーリーを展開させ泣かせ(感動?)ようとしてくるところである。
◎怨霊・怨念問題
これはJホラーを制作する上では避けられない問題である。そもそも怨霊・オバケの概念が欧米とは異なっているため生じてしまう。すなわち、日本において怨霊や怨念とは非業の死・恨み・悲しみを持った人の強い思い・魂のようなものが成仏できずにさまよい、災いを与えるものだと考えられてきた。そこでJホラーのラストシークエンスでは、これらの恨み・憎しみを抱いた魂の怨霊と「和解」して一件落着してしまおうという風潮が多い。
完全に主観・偏見だがホラー映画はハッピーエンドや感動・感傷で締めてはいけない。心がざわつくような終わり方であって欲しい。個人的な希望である。なかなか良い(と私が思える)ホラー映画はない。。
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