モモを11月30日から3,4日かけて読みまして。
幼少期から大好きな本を久しぶりに読んだら、
すごい哲学書だなぁと改めて思いましたので、
モモから思ったことや感じたことを元に書こうと思う。
・・・・・
モモのテーマはいくつかあって、
その中で欠かせないのが
「時間」
灰色の男たちという、奪った人の時間で生きている実態のない煙の男たちが出てくる。
彼らは自分たちが生き延びるために、
人の時間を奪おうと企み、時間を節約するよう人々に仕向けるのです。
ここでいう時間の節約とは、時間の余裕をなくすことを意味します。
人々は、
余計なことを省き
娯楽を省き
無駄口を省き
人の世話をすることを省き
愛する人と過ごす時間を省き
ペットを省き
寝る前に窓際に15分座って1日を思い出すことを省く。
愛情も楽しさもどうでもいいものとなり
余計なものは一切排除されていく。
無駄を省くことで
それ以外に対してもケチになり
どんどん貧しくなっていく。
何が貧しいって?
それは
「心」
◾️節約は心の貧しさ
思い当たる節、ありませんか?
せかせかしている。
忙しい。
時間がない。
休みがほしい。
あれもこれも我慢して貯金に回そう。
人と会うのはめんどくさい。
特に今、みんな口々にこう言っているでしょう。(私も...苦笑)
「もう年末!」
今年も何もしなかったぁ、とか
来年こそはもうちょっとゆっくりしよう、とか
今心ここに在らずな言葉、言ってません?
キーボードが壊れるんじゃないかっていうくらい音を立てて叩き続け、
眉間に鉛筆を挟めるんじゃないかっていうくらい深いシワを寄せて画面や資料を凝視して、
次から次へとやってくるメールや仕事のノルマの数々をこなし、
お手洗いにも行き忘れ水を飲むことすら忘れてしまっていませんか?
誰かに声をかけられて返事をすることを煩わしいと感じてませんか?
一緒のチームの誰かのうっかりミスで自分の時間に影響が出たら
心で「チッ」と舌打ちしたり、あからさまに嫌な顔してないですか?
家に帰ったら、家族と今日1日のことを話すこともなく
黙々とご飯を食べ、疲れた、明日も早いとさっさと寝ていませんか?
せっかくの自分の時間にスマホやテレビばかり見続け、
何かをすることで気持ちを紛らわせていませんか?
(モモ的にいう)「時間の節約」は、心の余白を無くします。
余白っていうのは「スペース、空間」
スペースがないっていう状態は、
外からやってくるものを受け入れるだけの場所がないっていうこと。
すごく広い立派なお家で、
所狭しと物に溢れていて玄関まで足の踏場のない家。
玄関開けたら家に詰め込んだ物が天井まで山積みに溢れかえり、靴を脱ぐ隙間もない。
大きな窓も塞がれてしまい、部屋の中が日に照らされることはありません。
多分、カビと生ゴミ臭いでしょうね笑
逆に、
とても狭いお家で、
綺麗に片付けられ整然としていて、空間にゆとりがある。
窓からは外の光りが美しく差し込み、明るく部屋を照らしています。
自分の家なら、どっちに帰りたいですか?
お客さんなら、どっちに遊びに行きたいですか?
そして、どっちが豊かでしょうか?
答えはそれぞれでいいですが、普通なら後者でしょう。
心も同じこと。
心の余白がないと、外からやってくる様々なことを
受け入れ、許し、理解することができなくなってしまう。
やがて、人からも受け入れ、許し、理解されることがなくなるだろうことは容易に想像がつく。
困っても誰にも助けてもらえなくなるし、
誰かが頼ってくれることもなくなる。
孤独...。
そう、時間節約の先に待っているのは、「孤独」ではないか。と私は思う。
外見がどんなに華やかに見えても、
それが豊かであるとは限らない。
でもこれは、ダメなことではない。
はっきり言うが、ダメとかできてないとか、そんなケチなレベルの話ではない。
◾️自律神経
心の余白がない時、一体身体では何が起きているのでしょう?
自律神経のことをちょこっとだけお話。
自律神経は、
脳から脊柱や仙骨を通って、内臓や末梢に繋がっている経路。
無意識化で勝手に切り替わり仕事をしてくれているから、自律神経。
交感神経と副交感神経があります。
交感神経は、いわゆるアクティブモード。
危険に出会った時「闘争か逃避か」に反応します。
現代は安全な環境にあるが、昔、狩をしていた時代には
いつ野生に襲われるかわからないという危険と隣り合わせで生活をしていた(だろう)。
その時と身体のシステムは変わらない。
身体は臨戦態勢に入り、瞳孔が開き、心拍数が増加し、呼吸は荒く浅い。
全身への血液の供給、筋肉の緊張、排泄活動の抑制、など。
ストレスがかかっていると、交感神経が活発になりっぱなし。
副交感神経は、休息モード。
心拍数と呼吸数はゆっくりとなり、筋肉はゆるみ、消化液の分泌や排泄の機能などが働く。
休息とは、回復機能のこと。
活動モードにある交換神経は一瞬で上がることができるが、
休むための副交感神経は時間をかけてゆっくりと静ませることが必要なのだ。
びっくりした時、心臓は一瞬でドキドキする(交感神経)けど、
落ち着く(副交感神経)のには自分の意図と関係なく時間がかかるでしょう?
が、
ずっと何かをしていると
神経が切り替わらないので、
身体はアクティブモードのまま。
眠っても、起きた時に疲れが取れない、寝足りないと感じてしまうのは
寝てから神経を落ち着かせようとしているからだ。
それでは睡眠中に回復機能が十分に活動できない。
意識は安全な環境にいると思っていても、
外からの刺激と内からの抑制により、
私たちの身体は危険だ、戦わなければ、と
勘違いをしている。
受け入れていたら死ぬかもしれない!
と身体は思っているのだから、
交感神経を優位にして命を守るために必死だ。
外からやってくるものを受け入れている場合ではないのだ。
なんて嘆かわしい健気な私の身体でしょう。
あなたの取っている普段の行動に、
あなたの自律神経は、
あなたの命を守ろうと常に全力で守ろうとしてくれているだけなのだ。
あなたはスマホで、どうでもいいものを見ているだけだと思っているかもしれないが...
それが結果として、心の余白がなくなっているだけにすぎない。
◾️自律神経と心と呼吸の関係
この時、呼吸を観てみてほしい。
日常で自分の心の余白がない時、
呼吸は止まっているんじゃないかと思うほどにうまくできない。
交感神経が優位になる呼吸をしていては、
姿勢が寝ていても神経は活動的なまま。
眠る前、10分、いや5分でもいい。
(本当は2時間前から睡眠への準備をしてほしい)
ゆったりとただ呼吸をしてほしい。
部屋を暗くして、ベッドに入り、暖かくして。
優しくまぶたを閉じて、ただ呼吸をするだけ。
何もしないのではない。
呼吸をしているのを「観ている」のだ。
そこから、自分の中に余白を作っていけばいいと思うのです。
この時も書いたのですが、
改めて本当にモモを今読んでいる人が多い。
時同じくして読み始めたお友達の周りにも
同じ声が続々と....
本当に桃ブーム到来です。
まだ読んでいない方はぜひ年内に。
2020年を前に、一体モモが私たちにくれているメッセージとは
果たして何でしょうかね?