過去のブログからの掘り起こしではありますが、
僕が初めてCDを買った経緯を紹介したいと思います。


それは中学2年生の頃。


今でこそ音楽を聴くようになった僕ですが、
その昔は、
音楽にお金を使う人の気持ちがよくわからないと友人に説いたりしてかなりうざがられていました。


そんな僕を音楽好きに変えてくれたきっかけとなった曲。


この曲に出会った日の事は鮮明に覚えています。

当時中学2年生でスポーツ刈り丸出しの僕は、部活を終えジャージで帰宅し、
その日の夕飯の餃子を若さに任せて勢いよく食べていました。

その時、姉がミュージックステーションをつけていたのですが、
前述の通り全く音楽に興味のなかった時期。

テレビの画面を時々チラリと見るだけで、
餃子につける醤油と酢の割合を6:4に保つことに集中していました。

その時、タモリさんが次のゲストを呼び込みました。

「次は*+‘+>*‘でーす」

名前は良く聞き取れなかったのですが、
変わったバンド名だなという事だけは伝わりました。

なんだろうと思い視線を向けると、
画面にはきらびやかな衣装を身にまとった5人組が。

なんだこれは・・・?

あまりの動揺に崩れる醤油と酢の割合。

こんなの変な格好をしているだけじゃないか…

と自分に言い聞かせ、
気持ちを静めるように努める僕。


タモリさんが歌うように促すと、
そのバンドはセッティングに向かいました。


そしていよいよ歌が始まりました。

画面に映しだされた文字は

シャ乱Q『ズルイ女』






シャ、シャの次に乱で、その次がQ?!
で、曲名が『ズルイ女』?!
軽くパニックです。

前奏のサックスが鳴り響いてからの3分間。


きらびやかな衣装
めちゃくちゃなバンド名
インパクトのある曲のタイトル
クセのある声
エロい歌詞
独特なメロディー

どれもが僕を魅了しました。

怒涛のようにズルい女は流れ、
僕の頭の中にシャ乱Qのバンド名は確実に刻まれました。


シャ乱Q…か…


まだ少し興奮の残る僕を眼の前に、
8つ上の姉は言いました。

「さて、TSUTAYAに行ってくるかなぁ」

こんなの食いつかないわけにいきません。

「ぼ、僕もいくよ!」

珍しいねと言われながら、
近所のTSUTAYAについていきました。

何のCDを借りようかと、
ランキングの1位から順を追って見ていく姉。

その時、
当然ながら僕の視線は『ズルイ女』一直線。


頼む、『ズルイ女』をレンタルしてくれ!


そんな僕の心の中の願いは空しく、
その地点を通り過ぎる姉。

いてもたってもいられなくなった僕は遂に口に出しました。

「ず、ズルイ女は借りないの?」

かなりの覚悟で振り絞った僕のセリフに姉は言いました。


「あー、あたしあんまり好きじゃないから」


その言葉でタガが外れた僕は、
繰り返し言いました。


「姉ちゃん、ズルイ女!姉ちゃん、ズルイ女!」


しばらくこの言葉を連呼した僕に、
姉は少し顔を赤らめてレンタルしてくれました。

その当時は弟思いのやさしい姉だと思っていたのですが、

今思い返すと、

『姉ちゃん、ズルイ女!』

というセリフがあまりに恥ずかしくて借りてくれたんでしょうね。