りさぽん🎸🦔
 


寤寐思服❿の続きです!
 

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チェックのブラウンジャケットを着てる先生は、かっこよくてでもすごく可愛い。
 

 

私も珍しくスカートを履いてみた
 
 

 
理「かわいい。似合ってるね」
 
 


 
そんなささいな先生の一言は私の胸をどきどきさせた
 



 
渡すつもりのなかったマフラーを持ってきてる私は、まだ心のどこかで先生との未来を夢見てるのかもしれない
 
 


先生は楽しい話をしてくれる。
車の窓から見える景色が涙でよく見えない
 
 


信号でとまったとき、必ず私の手を握る先生
 
 


先生と過ごした時間も、先生からもらった愛も忘れないよ
 


 
高級そうなホテルのロビーで、ボーイさんが頭を下げる
慣れた様子でエレベーターに向かう先生はとても大人で、私の知らないことをたくさん知ってる
 


 
初めてのこんな場所に、きょろきょろしながら先生についていく
 


 
私と手を繋いでエレベーターを待つその瞬間も、ななめ後ろから見る先生はとても可愛くてどんどん大好きになってく
 
 


1階に近づくエレベーターのランプを見ながら、先生はチラッと私を見る
 
 
 

理「そんな緊張しなくていいよ」
 
 

 
いつもと違う先生は、私に"先生が好き"ということを痛いほど実感させる
 


 
ふたりきりのエレベーターは、息ができないくらいに緊張した。いつもより大人の先生は何も知らずにエレベーターのカメラを探す
 
 
 

理「カメラついてるのかな?まぁ、いっか」
 
 


 
先生は緊張で胸が張り裂けそうな私に、そっとキスした
 

 
泣いちゃだめ、今日は楽しまなきゃ
先生との恋の最終章。笑って終わらないと
 
 

これが最後のキス。最上階に着いてほしくなかった。
先生の唇がはなれるのが寂しくて仕方なかった
 
 

薄暗い店内は、大人の雰囲気が漂う。私みたいな子供が入っていいのか、と思うくらい。ピアノの音とか窓から見える夜景が、ここは夢の中だと錯覚させる
 
 

店員さんに予約の名前を言う後ろ姿をじっと見つめた。もう見ることができない先生のこんな姿。しっかり目に焼きつけた
 
 

 
理「ここなら誰にも見つからないでしょ?探したんだよ!」
 

 
 
急に可愛い笑顔になる先生。イタリアンのコースを注文し、ノンアルコールのシャンパンで乾杯した。
 
 

シャンパンのせいなのか、この美しい夜景のせいなのか、頭がふわふわして現実味がない。
アルコールは入っていないはずなのに顔が赤くなる
 
 


薄暗いところで見る先生も可愛い。テーブルに肘をつき、私に近づこうとしてくれる先生。
小声で「チョコちょうだい」なんて言うんだ
 
 


先生に初めて渡したチョコ。私の一生分の愛を込めて
 
 

 
理「小林さんからやっともらえた。去年も貰えると思ってたんだよ!ありがとう」
 

 
 
嬉しそうにチョコをテーブルに置き、チョコの箱を見つめる。
 

 
先生、好きです。最初で最後のチョコです。
きっと一生忘れないバレンタイン。
 
 
 
理「どうしたの?元気ない、」
 
 

 
私の右手を握る先生。テーブルに伸ばした手があまりにも優しくて涙が出そうになる
 
 

 
理「最近の小林さん、元気がないから心配だよ。話してよ」
 
 

 
握られた手が先生の温もりを感知して心臓をドキドキさせる
 
 
 

由「チョコ、いくつもらった?」
 
 


理「数えてないけど、本命はひとつ。小林さんからだけ」
 
 
 
私達は、他愛のない会話をして笑った。
 
 


修学旅行の最後の夜、ほんとは部屋に連れて帰りたかったんだよ、って照れながら言った先生を愛おしく思う
この人以上に好きになれる人はいないって確信した。私は一生、先生を諦められないかもしれない。ずっとずっと引きずり続けるかもしれない
本当は怖い。自分がどうなるのか、怖いよ
 
 

先生が話してくれた。先生はずっと本気で好きになれる人と出会えなかったって。先生のことを好きになる人はたくさんいるのに、先生が好きになる人はなかなかいないんだ。そんな貴重な存在に、私はなれたんだね。先生に愛されたんだね。
 
 
 
 
素敵な素敵な夢のような時間をありがとう
 
 

 
「こちらからお選びください」
 
 

 
とうとう、デザートメニューがテーブルに運ばれてきた
 
 

 
理「なににする?」
 
 

由「う〜ん、」
 

 
理「選べないんでしょ」
 
 

由「うんー、いちごのタルトにする」
 
 
理「じゃあ、いちごのタルトとプリンでお願いします」
 
 
 
先生はにやにやしながらシャンパンを飲み干した
 
 
 
理「どうせプリンと迷ってたんでしょ。半分こしようね」
 
 

由「せんせい、だいす…」
 
 

 
先生大好きと言いかけて、その言葉を飲み込んだ
こんな些細なことで、先生の愛の深さを感じる。
 


 
 
デザートと一緒に運ばれてきたカプチーノにはハートがかかれていた
 
 


 
理「すごいね!」
 
 

 
子供みたいにはしゃぐ先生に言えないよ…
 
 

 
理「ホワイトデーなにが欲しい?」
 
 

由「先生との時間が欲しい」
 
 

 
ホワイトデーには、私は先生の隣にいない
だけど、なにが欲しいかと聞かれて真っ先に思ったのはこれだった
やっぱり先生と一緒にいたい、だけど…
 
 

 
理「私との時間?指輪とかじゃなくていいの?」
 
 

由「だって…」
 
 
 
指輪、か…いつか先生にもらった指輪をつけるのが夢だった。
 
 
 

理「指輪は、もう少し待ってね。そのときが来るまでね!」
 

 
 
先生の手が私の頭に触れ、涙が溢れだす
 
 


そのとき、って?
 


 
先生、ごめんね。先生が大好きだから。
先生の幸せが私の幸せだから…
 


 
言わなきゃ、「さよなら」を。
 
 

 
由「先生、もう終わりにしよ…」
 
 
 

先生は目を丸くして、何がなんだかわからないって顔をしてる。
少しして、外の景色を見た先生は、窓の外を見たまま黙ってた。
 
 

 
理「なにがあった?私のこと嫌いになったっていう理由以外は受け付けない」
 
 
由「先生…私と一緒にいたらダメだよ、」
 
 

理「どした?なにかあった?誰かにバレた?」
 
 


 
心配そうに覗き込む先生にとっても、正しい選択になるはず
 
 

 
由「私、聞いちゃったんだ。聞こえてたんだ…昨日の電話」
 
 

 
そんな顔しないで。
 
 

昨日聞こえた声がずっと頭から離れないんだ
 
 
 

『僕たち、やり直そう』
 

 
 
誰にも渡したくない恋だけど、愛してるからこそ私は先生の元から離れるよ
 


 
これが私の最大の愛の形
 
 


涙でぼやける先生に「嫌いになった」と言わなきゃ
 
 

 
…だけど、言えないよ
 
 

 
由「先生、愛してるよ。だけど、別れて…」
 
 

理「誤解しないで、!」
 
 
 

握られた手は、先生の震えを感じる
 
 

 
由「私、やっぱり無理だから。先生は、元彼さんと生きていくのがいいんだよ…」
 

 
 
誤解じゃないよ、先生。
受話器から聞こえた元彼の声、
 
 

 
『やっぱり、理佐しかいないんだ。結婚しよう』
 


 
 
なにもこたえなかった先生は、きっと色々なことを考えていたんだと思う
元彼さんと結婚した方が幸せになれるのは先生だってわかってるはず
 
 

 
私の存在が、先生に返事をできなくさせてるんだ、
 
 

 
 
エレベーターで何かを言いかけた先生。
こんなときくらい、二人きりにしてくれてもいいのに、途中の階から、カップルがエレベーターに乗ってきた
 
 

言いかけた言葉は、先生の胸の中に閉じ込められる
そっと繋がれた右手が、先生を求めてる
でも、、今から別れるんだ
 
 

エレベーターを降りた私たちは、駐車場に向かう
なにも話さない静かな時間がさよならを感じさせる。
 
 

 
理「私は復縁する気もないし、結婚する気もない。向こうの親が納得してくれたらもう一切関わる気もない」
 
 

 
車に乗り、エンジンをかけずに先生は話し始めた
 
 

 
由「でも先生は結婚した方がそっちの方が幸せだよ、だから私はこれ以上先生といられない」
 
 

 
先生の目を見ることができない
 
 

 
理「お願いだから、、勝手に決めないでよ、私の気持ちはどうなるの、?」
 

 

由「ごめん、先生。決めたんだ、、私には重すぎる」
 
 

 
重くなんかない。本当は、先生の過去も、何もかも全部愛してる
 

 
 
理「なにを言っても、もうだめかな?」
 
 

 
先生はうつむいて閉じていた
 
 

 
由「今まで本当にありがとう楽しかったよ、先生」
 
 
 

頬を伝う涙は、拭いても拭いてもどんどん溢れてくる
 
 

 
先生は黙って車を走らせる
 
 
 

もうこの助手席に座ることもない
もう、この横顔を見ることもできない
 
 
 
信号でとまっても、先生は手を握ってくれなかった
ただ悲しそうな顔をして真っ直ぐ前だけを見ていた
 
 

 
私は自分が何をしたいのかわからなくなってきた
別れたいのか、泣いてすがってほしいのか、引きとめてほしいのか、結婚してほしいのか
 
 

 
もうわからない。ただ今は別れることが自分にできる唯一のこと。
頭の中はもうぐちゃぐちゃ。別れたいと言ったのは私。
なのに、私を見てくれない先生を見て寂しくなる
 
 

 
手を握ってよ。別れたくないって言ってよ、先生、
私がいないと生きていけないって言ってよ、
 
 
 

家の前まで来たら、怖くて仕方なくて、涙が止まらない
先生、もう、最後だね
 
 
 

理「私は、小林さんを好きでいるから、、ずっと。それだけは覚えてて」
 
 

由「私も…」
 
 
 

先生に引き寄せられた体は恐怖で震えてた
大切なものを失うことがこんなに怖いものなんて知らなかった
 
 

 
理「なんで…なんで好きなのに別れないといけないの、、お互い好きなのに…」
 
 

 
車から流れる音楽は失恋ソングで、、
 
 

 
理「その紙袋は、私にくれないの、?」
 
 

 
渡すつもりのなかったマフラー
 
 

 
由「うん、ごめんね、渡せないよ、」
 

 
理「お願い、欲しい、お願いだから、、ください…由依、」
 
 

 
先生が泣いている、抱きしめたい、
 
 

 
理「ゆい、、それ、由依だと思って大事にするからっ、おねがいっ、」
 
 

 
ハンドルに頭を押しつけるようにして、先生は泣いた。渡した紙袋を大事そうに胸に抱いて。
 
 

 
由「先生、おねがい、幸せになってね。今まで本当にありがとう」
 

 
 
先生は何も言わずに泣いてるだけだった
 
 

 
勢いよく車のドアを閉めて、振り向かずに走った。玄関のドアの鍵がなかなか見つからなくて振り向きたくなる。
こっち見てるわけ、ないよね、
 
 

 
最後にもう一度だけ、大好きな人の姿を目に焼き付けよう。
振り向いた先には、涙に濡れた先生の瞳
 
 
 

 
じっと私を見る先生は、無理して少しだけ微笑んでくれた
 
 

 
 
真っ暗な自分の部屋に駆け込んだ
わたし…間違ってる?わたし…これでよかったの?
 
 
 
 
 
 
 
 
出会ってから、何回先生の名前を呼んだだろう。
先生は、私の初恋。私のすべて。
 
 
 
 
 


 
これからはもう、誰も愛さない。愛せない。
私は一生分の恋をした。先生ありがとう、私を愛してくれて。
幸せにならなきゃだめだよ、私は先生の幸せを遠くから祈ってる。永遠に祈ってる…
 
 
 
 


 
coming soon…
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お読みいただきありがとうございました🕊️
 
いいねしてくれると嬉しいです。
 
 
 
 
ついに!!1番長かった《第4章》が終わりました!
残すところ、あと第5章となりました!!!
もう少しで終わってしまいますが、応援してくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします!