りさぽん🎸🦔

 

 

寤寐思服❾の続きです

 


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美「今日で最後なんて寂しいね」

 

 

ひ「修学旅行が終わっちゃうよ〜」

 

 

由「楽しかったね!」

 

 

 

温泉での女子トークも今日でおしまい。

露天風呂から見える星が、とても綺麗で切ない。

 

 

先生が入ってくるのを期待してるけど、入ってくるわけもなく…

 

 

1回でいいから浴衣姿見たかったなぁ

 

 

 

 

「由依のおっぱい大きよね」

 

 

 

クラスの友達にまじまじと見られた

 

 

 

由「見ないでよっ!」

 

 

「由依は、好きな人とかいないの?どうしてそんなに大きくなったの?」

 

 

「誰かに揉まれた?」

 

 

 

みいちゃんとひかる以外の質問に、私はただ笑って誤魔化すだけ。

先生からの言葉を思い出す。

 

 

『私がもっと大きくしてあげる』…って。

 

 

みんなで星が瞬く夜空を眺めながら、少ししんみりした空気が流れた。

 

 

 

み「今のこの時間は戻らないんだよね」

 

 

 

みいちゃんの言葉がみんなの胸にズシンと届く。

 

 

 

「今しか…この気持ち味わえないんだよね」

 

 

「こんなに夢中で恋したり、何かに熱くなったりできるのも今だけなのかな」

 

 

「出会えたこと、大事にしなきゃね」

 

 

 

いつの間にかクラスの女子みんなでくさい話になってた

なんとなく胸が熱く、涙が出そうになった

 

 

この高校に来てなかったら、みんなにも、先生にも出会えなかった

大事にしないと。

 

 

 

 

お風呂から上がった私達に、先生のクラスの女子が声をかけてきた

 

 

 

「みんながお風呂から出たらカラオケ大会するんだけど、そっちのクラスの人も来てよ!大広間でやるから!理佐ちゃんの歌、聞きたいでしょ!?」

 

 

 

先生の歌、、想像するだけで興奮してしまう。

先生の鼻歌は聞いたことあるけど。

先生の声は透き通るし、絶対上手だよね

 

 

めちゃめちゃ聞きたい。

しかもお風呂上がりの浴衣だったら、鼻血出ちゃうよ

 

 

 

理「遅くなってごめんね!」

 

 

 

大広間に現れた先生は、ずっと見たかった浴衣姿。

本当にやばい、写真撮りたい

 

 

お風呂上がりの先生、顔が少し赤くて、メイクを落としても全く変わらない可愛さ

 

 

モテちゃうなぁ、、

 

 

キョロキョロ周りを見渡した先生は、私を見つけてさっと目をそらす

 

 

隣のクラスの私達に、先生に近寄る隙なんてない

先生のクラスの女子が先生に群がる。先生の手を握る人がいたり、先生に抱きつく人がいたり…

 

 

触らないで!って叫びそうになる

 

 

先生にリクエストが殺到し、最近流行ってるアイドルの曲が入れられてしまった

 

 

大丈夫?先生、歌えるのかな…

なんて心配をよそに、先生は見事に歌い始めた。

 

 

照れた表情に、画面を見る真剣な目。

前世はアイドルだったのかな?って思うくらい歌が上手で可愛い。

 

 

時間も遅くなって、カラオケは終わった。

 

 

 

理「早く寝なよ〜、最後にハメ外して悲しませないでね」

 

 

 

先生は一人一人におやすみを言って、手を振る

 

 

最後まで大広間に残っていた私達を見つけて、

 

 

 

理「はいはい、早く出なさい!!」

 

 

 

と言いながら、電気を消そうとする

 

 

 

ひ「おやすみ〜、先生」

 

 

美「先生。歌うまかったね」

 

 

 

みいちゃんが名残惜しそうに先生の顔を見ながら部屋を出て、最後に私が部屋を出ようとしたとき、

 

 

 

理「早く寝なよ〜」

 

 

 

と電気を消した

 

 

その瞬間、強く腕を引っ張られて電気の消えた真っ暗な大広間で先生が抱きしめてくれた

 

 

誰にも気づかれないくらい、短い時間の出来事。そのあと、何事もなかったかのように先生は私達に手を振った。

 

 

私はそれだけで満足だった。夜中に部屋を抜け出して先生を探したい気持ちになったけど、今回は我慢しよう。

 

 

だって、こんなに素敵な思い出がたくさんできた。

ありがとう。先生。

 

 

 

 

 

うとうとしかけたとき、みいちゃんが私を起こした。

 

 

 

美「…ゆいちゃん!起きて」

 

 

 

小声で囁くみいちゃんがドアを指差す。寝ぼけたままドアを開けると、先生がいた。

目をこすり、まだ寝ぼけている私を見て先生が笑う。

 

 

 

理「少しだけ、外行こっか」

 

 

 

先生の浴衣を掴む。浴衣姿の先生と歩けるなんて夢みたい

 

 

裏口から外に出ると、とても寒くて2人で寒いねって手を繋いだ

 

 

由「先生…好きです」

 

 

理「…知ってる」

 

 

 

いつもの返事が嬉しい。

 

 

 

由「先生、ありがとう」

 

 

理「小林さん、、楽しかったね」

 

 

 

先生は、私の顔を見て優しく笑う

 

このままずっと、この時間が続いてほしいって思った。

やっとふたりきりになれたよ。先生が他の生徒と仲良くしてる姿をたくさん見て少し辛かった

 

私も先生の近くに行きたかったんだよ

 

 

 

理「ごめんね、」

 

 

 

先生は私の気持ち、、ちゃんとわかってくれてたんだ

 

 

先生は浴衣の胸の中から何かを取り出して、私のジャージのお腹の中に入れた

 

 

 

由「何?先生…見ていい?」

 

 

理「だ〜め!部屋に帰ってからね」

 

 

なんだろう。何か食べ物っぽい感じ。夜食かな?

 

 

理「もう帰らなきゃ、さみしいなぁ」

 

 

由「うん、、でも先生といっぱい思い出できた」

 

 

理「そうだね。小林さんと最後にこんな綺麗な夜空見れたから、満足だね」

 

 

先生は空を見上げながら、目を細める

 

 

理「キスしたくない?」

 

ちらっとこっちを見る目は、またえっちな目になってる。

 

 

 

由「だーめ!見つかるかもしれないじゃん」

 

 

 

そう言いながらも、強引にキスされることを待ってることを待ってる私がいる。

先生は心が読めるのかな…

 

 

私の肩を強引に引き寄せて、建物の間でキスをした

寒い雪の中でするキスはとてもロマンチックで。先生の唇の温もりを感じて、体が熱くなる

 

 

 

理「由依、好き」

 

 

由「先生、好き」

 

 

理「明日の飛行機、怖くない?」

 

 

由「大丈夫だよ。先生が一緒だから」

 

 

理「そっか…じゃあ、ゆっくり寝て明日までしっかり楽しんでね」

 

 

由「うん!先生が先生でよかった」

 

 

理「私も小林さんが生徒でよかった。こうして出会えたから」

 

 

 

もう一度キスをして、部屋に戻った。

 

 

先生がお腹の中に入れてくれた袋には、お土産屋さんで買っていたたくさんのお菓子だった

知らなかった。勝手に嫉妬してごめんね。

 

 

みんなが寝静まった部屋でたくさん泣いた

気づいたら寝てた。夢には先生が出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

修学旅行も無事終わり、バレンタインが近づいてきた

 

 

美「おはよ!」

 

 

修学旅行の余韻が覚めて、今学期は、あとテストとバレンタインだけになった

 

 

修学旅行から帰ってきてまだゆっくり先生と会ってない

体育の授業と、廊下ですれ違うくらい。相当忙しいらしい。

 

いつも眠そうで心配

 

 

由「みいちゃん、バレンタインどうするの?」

 

 

美「夏鈴ちゃん、本当に彼女いないのかな?微妙なんだよね」

 

 

由「いないって。おみやげも喜んでくれたんだし、いい感じだと思うんだけど」

 

 

 

修学旅行のおみやげを渡す口実で一緒にお店に行った時、夏鈴ちゃんもみいちゃんのことを意識してるように思えた

 

 

 

美「バレンタインまであと1週間かぁ。予約しとかないと取られちゃう」

 

 

 

みいちゃんは飲んでたジュースを飲み干して笑顔を向けた

 

 

 

 

最近、またお姉ちゃんの帰りが遅い。

暴れることは無くなったけど、イライラした様子でお母さんにえらそうな口調で文句を言う

夜中の音楽も、ときどき復活してる

 

 

先生に会いたくて仕方ない。先生に相談したいけど、今、先生もいっぱいいっぱいなのは見ててわかるから。

相談すれば、すぐに来てくれるから。だからこそ、今は言えない。

 

 

昔に比べると今の荒れ方なんてかわいいもんだ。おはようやおやすみが言えるだけでも、嬉しいこと。

 

 

 

 

理『もうわたし、、限界』

 

 

 

先生の電話の声は、元気がない

 

 

 

由『そんなに忙しいの?大丈夫?』

 

 

理『仕事じゃなくて、小林さんに会えないのが限界だよ」

 

 

先生は大人なのに、私と同じように寂しくて我慢できなくなったりするんだ

 

 

 

由『バレンタインは会える?』

 

 

理『うん!なにがなんでも会いに行くよ。どこかでご飯でも食べようね』

 

 

 

先生との約束は私にパワーをくれるんだ。

バレンタインには、手作りチョコと、可愛いマフラーをあげたい。

先生のために何かをしていると幸せな気持ちになる。

 

 

 

由『先生、元彼さんに、次いつ会うの?』

 

 

 

どうしてこんな質問をしてしまったのか、自分でもわからない

 

 

電話を切ったあと、なぜだか涙がこぼれてきた

 

 

先生はとても寂しそうな声で私の質問にこたえた

 

 

 

理『わからない。向こうの親が私に会いたいって言ったら2人で会いに行くから…』

 

 

 

先生は、相手の親が結婚しないことを許してくれないのがすごく不安で、何度も揉めているらしい

 

 

先生言ってた

 

 

 

『このまま結婚させられちゃうんじゃないかな、男の人、ほんとは好きじゃないのになって

 

 

 

そのあと、返事をしなかった私にきを遣ったのか、

 

 

 

『今は、小林さんがいるから平気だよ!婚約も絶対なんとかなるし!』

 

 

 

そう言った。

 

 

そんな気遣い…嘘だってわかる。

先生はきっと、不安で寝れない夜があるかもしれない

私は、なにもしてあげられない

 

 

 

バレンタインまであと3日

みいちゃんと一緒にチョコ作りの練習を始めている

けど、こんな気持ちで作るチョコは美味しくないかもしれない

 

 

 

理『私、転勤になるかも…』

 

 

 

昨日の夜の電話。そのあと、

 

 

 

理『その方がいいかなって思うときがある』

 

 

 

先生の言葉はとても悲しかった

やっぱり先生は疲れているのかな。

生徒と付き合っているというこの現実は、先生にとって重荷なの?

 

 

私はどんなに寂しくても辛くても、先生と同じ高校にいたい。

この高校であと1年少し、先生と過ごして先生と卒業したい。

卒業式に、先生に「おめでとう」って言ってもらいたい

 

 

先生は違うの?こんな大変なことは、早く終わればいいなんて思ってる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理『今から行くから!』

 

 

 

バレンタイン前日の夜9時、先生からの電話

 

 

明らかに私の様子がおかしいこと気づいてるよね

誰よりも私のことわかってくれる先生だもんね

 

 

 

理「どした?寂しかった?」

 

 

 

車の中での久しぶりの先生との時間

先生の顔を見ると涙が溢れて止まらなくなる。私の顔を覗き込むその表情も、私の頭を撫でるその手も、すごく大好き

 

 

 

 

理「うーん、どうしたの?小林さん?」

 

 

 

困ったように先生は何度も私の泣き顔を覗き込む

先生ごめんね、困っちゃうよね

 

 

 

由「会えない間に、余計なことばっかり考えちゃって」

 

 

先生は私の手にキスをした

 

 

 

理「ばかだなぁ、小林さんが会いたいって言ってくれればいつでも来たのに。いちおう試験前だから夜遅くは遠慮してたんだからね」

 

 

 

 

先生の優しさ、すごく伝わる

どうしてわがまま言えなかったんだろう

どうして彼女なのに我慢してたんだろう

 

 

 

そのとき、滅多にならない先生のスマホが鳴った

 

 

 

理「ちょっと、ごめんね」

 

 

 

そう言って、服のポケットからスマホを取り出す

 

 

先生、電話の内容聞こえちゃうよ

いつもみたいに音楽かけててよ

 

 

 

全部全部聞こえてるよ…先生のばか

 

 

そんな先生が大好き。大好きだから…

先生とさよならしよう

 

 

 

一睡もできないまま朝がきた

学校でなにをしていたかも記憶がない

 

 

昨日の音漏れ。先生のスマホから漏れた声は今も耳から離れない

 

 

先生は私を見て嬉しそうに微笑む。私のこんな決心も知らずに…

 

 

6時間目の授業が終わる。みいちゃんの健闘を祈り背中を押す

みいちゃんも私の肩を叩き、「頑張れ」って言ってくれた

 

 

私は今までいつも自分のことが1番だった

初めて自分より大事な誰かのために、自分の気持ちを押し殺す覚悟をした

 

 

廊下で先生とすれ違った

 

 

理「20時くらいに行く。ホテルの最上階のレストラン予約した!」

 

 

先生、よりによってそんな素敵な場所を用意してくれるなんて。

泣いちゃうくらい嬉しいよ

 

最後のデートが今まで夢見てきた2人でのディナーなんて。

 

決心が揺らいでも伝えられるように

チョコの箱の中に「さよなら」と「ありがとう」のメッセージを入れた

 


 

coming soon…

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