りさぽん🎸🦔

寤寐思服Ⅱの続きです
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翌日の朝、奇跡のようなことが起きた。朝起きた私がキッチンで見た光景。

里「おはよ…由依」

お姉ちゃんが朝ごはんを食べていた。しかもおはようって言ってくれた。こんなことって、、ある?

先生はいろんな贈り物を私にくれる。

里「ねえ由依。あの人いい人じゃん」

お姉ちゃんからこんな風に話しかけてくれることが嬉しくて声がうわずる。

由「え…え?あぁ、先生?そうでしょ!」

里「由依、あの人のこと好きなんでしょ?」

お姉ちゃんは目線をテーブルに落としたまま少し笑った。

笑顔、かわいいのに。笑顔のお姉ちゃんのほうがずっと素敵だよ。

由「…好きじゃないよ!ねぇお母さん!」

動揺しまくりの私はなぜかお母さんに助けを求める。目玉焼きを焼いているお母さんは私に追い打ちをかける。

「見ればわかるよ。そりゃ、好きになるわよねぇ。かわいいもん」
 
お、お母さん!?でもかわいいって言ってくれてついつい嬉しくて興奮しちゃう私。

由「でしょ?かわいいでしょ!??」

里「あはは、、由依ばかすぎ」

お姉ちゃんはお母さんと目を合わせて、

里「バレバレじゃんね〜?」

って笑った。私は、心にあたたかいものが流れるのを感じた。こんな素敵な朝をくれた先生、本当にありがとう。

本当に…久しぶりだった。朝起きて、お姉ちゃんがいることも驚きだった。その上、お母さんの作った朝ごはんを食べてたんだよ。『おはよ』って言ってくれた。先生の話、してくれた。お母さんと仲良く話してた。

私は朝ごはんを食べ終わるとトイレの中で泣いた。いつもの悲しい涙じゃない。お姉ちゃんが笑っていたことが嬉しくて…。お母さんも、きっと泣いちゃうくらい嬉しかったんだろう。先生は私だけじゃなく私の家族にも幸せをくれたんだ。


理「はいはい、、早く問題解いて!」

いつも通りの先生。補習の生徒は私ひとり。

私は、今朝のお姉ちゃんのことを早く話したくて、うずうずしていた。落ち着かない様子で、先生をチラチラと見る。

理「どした?トイレ、?」

先生はニコニコしながら小声で言う。

由「違うの!先生にどうしても早く話したいことがあるんだけど…!でも、今は補習だし…」

理「ばーか!なに急にまじめになってるの?小林さんはいつも、授業中でも関係なしに私に話しかけてたでしょ。今までと同じでいいの!」

私は、問題を解きながら今朝のことを報告した。先生も嬉しそうに聞いてくれた。

理「小林さん、お姉ちゃんのこと大好きなんだね」

先生は私の横に座った。

理「おいで」

そう言って、自分の膝を叩く先生。先生は膝に私を乗せてくれた。

理「ここの教室、突き当りでよかった」

先生は私の肩に顔を乗せながら抱きしめて笑った。

理「私、考えたんだ。やっぱり教師と生徒なわけで。我慢も必要だと思う。だから私は、これから卒業まで小林さんに…触れない」

触れない…?
先生はわざとらしいまじめな表情をする。

由「寂しいけど…仕方ないよね、」

しょんぼりした私のおでこに、キス…。

由「せんせ…。今触れないって言ったのに!」

理「あ、、忘れてた、」

そう言ってまた私を抱きしめる。

由「ちょ…ちょっと!先生、言ってることとやってることが違うよー」

理「これだけはOKにしない?ぎゅってするのと…おでこにちゅーだけは、」

甘えたような先生の目に、母性本能をくすぐられる。かわいすぎる、

理「襲うようなことは絶対しないから!約束する。あ、でも卒業式が終わったら覚悟しといてね」

気持ちが通じあった先生は、わりと変態で、、意外。でもそんなところもますます好きだなって思ってしまう。

由「先生のばーか!」

その日は数学の問題はちょっとしかしなくて、ほとんどくっついて話してた。

この調子で本当に卒業まで手を出さずにいられるのかな、と不安と期待が入り混じる。

午後から、先生はひとつ上の学年の補習に行ってしまった。

理「夜、電話してね!」

さっきまでの甘えた先生は、どこへやら…。いつもの偉そうな先生。

私…こんなに幸せでいいのかな?こんなにどきどきしてきゅんきゅんして、どうなっちゃうんだろ。

みいちゃんにだけは先生とのことを話そうと思って、晩ご飯を一緒に食べる約束をした。

美「話って何よ〜!由依ちゃん!気になる!」

午後6時。みいちゃんとよく行くイタリアンのお店へ。注文したカルボナーラが来る前に、みいちゃんは私の言いたいことを察したらしい。

美「もしかして…告られた!?」

さすがです。さすがとしか言いようがない…。

由「みいちゃんには全部話すね。先生にも、みいちゃんには話すって言ったから」

みいちゃんはあっという間にジュースを飲み干す。私の目を見て頷きながら、真剣に話を聞いてくれるみいちゃん。途中から半泣き状態。

美「ほんとに良かった。ほんとにほんとに良かったね」

みいちゃんは私の手を握り、自分のことのように喜んでくれた。

美「由依ちゃんも頑張ってるんだから、私も頑張らなきゃね。土生ちゃんに電話する勇気出たよ」

みいちゃんと土生ちゃんは中学時代みんなの憧れだった。このまま、ずっと付き合ってるって信じさせてくれるくらいの仲だった。だけど…

その夜、みいちゃんが泣きながら電話があった。外では、聞き慣れない鳥の鳴き声がしていた。

美『由依ちゃん、土生ちゃんとしちゃった。どうしよ』

私との食事を終えたあと、みいちゃんは土生ちゃんに電話した。1年ぶりくらいじゃないかな。スマホの番号が変わってなかったことが、まだみいちゃんの恋に可能性があるって思わせた。

土生ちゃんは、久しぶりのみいちゃんからの電話に嬉しそうな反応をしてくれたらしい。

そうだよね。お互いが嫌いで別れたわけじゃなかった。高校が別々になって、お互いがお互いを疑ってばっかりになって。でも、好きだからこそ、嫉妬したり、束縛したりしてしまうんだよね。

会って話したいね、っていう土生ちゃんの言葉に、みいちゃんは土生ちゃんを家に呼んだ。みいちゃんのお母さんも昔から土生ちゃんを可愛がっていたから、すごく喜んでくれたらしい。

他愛もない話をしながら、なんとなく、懐かしさと安心感で、キスしちゃったらしい。その流れでした。でも、帰り際に土生ちゃんが言った。

土「ごめんね。私、今彼女いる」

なんとなくわかってたんだ…とみいちゃんは静かに呟いた。話し方、キスの仕方、右手の薬指の指輪。昔とは少し違ってた。

平気なフリして土生ちゃんと手を振って別れたあと、みいちゃんはしゃがみこんで泣いたって。

美『抑えてた気持ちが、全部溢れてきちゃって。こんなに好きだったんだって、今…気づいた…どうしよ、由依ちゃん』

電話の向こうで鼻をすすりながらみいちゃんは言う。

美『家に呼んだ時点で、こうなること、なんとなくわかってたのかな…私』

みいちゃんの気持ち、すごくわかる。好きだったら、それは仕方ない。

もし私が先生と別れたらって考えた。


翌日、みいちゃんが先生に相談したいって言うから、補習のあとに職員室に集まった。

いつも通りにこにこの先生は、とても可愛い。

理「ん〜。ただひとつ言えることは、小池さんの好きな土生ちゃん?も小池さんのこと考えてるってことだね

先生は椅子の背もたれにもたれながら話す。

美「そうかな…?先生、そう思う?」

みいちゃんは先生の意見を聞くことが出来て嬉しそうだったし、それがみいちゃんにとっていい内容だったから、私も嬉しかった。

理「いい恋愛をしてきた相手を、体だけの目的で抱くことはなかったでしょ?向こうも今頃悩んでるんじゃないかな」

先生の言葉は誠実で、先生の今までの恋人は幸せだったんだろうなって思う。

由「あ、先生。ネックレス変えた?」

私の質問に、にこにこって笑ってくれた先生。

理「10月の誕生石のやつにした。小林さん10月でしょ」

先生の愛の深さと大きさに感動した。

美「ちょっとぉ!由依ちゃんと渡邉先生、私の存在忘れてない?なにいちゃいちゃしてるのさ!

急に真っ赤になって私の肩を叩くみいちゃん。

理「ごめんごめん。だって…私たちまだ付き合いたてで、ラブラブだもんねー?」

先生は私を見てにやにやしてる。

私は何も言えず、ただどきどきしてうつむくだけ。

美「由依ちゃん、かわいいね。なんか先生と由依ちゃんって不思議だね。教師と生徒の恋愛ってもっとドロドロしてて、泣いたり苦しんだりってイメージだったけど、全然違うね。安心した!」

みいちゃんの言う通りだった。
私もこんな幸せな関係、夢の中でも想像してなかった。

理「私たちもいつどうなるかわからないけど、今を楽しまないと。小林さんが言ってくれたから…。今、一緒にいたいって」

先生は真っ赤になる私を見て楽しんでるかのように、私に恥ずかしくなるような言葉をたくさんくれる。

それから、夕方まで3人で恋バナしてた。
この人を好きになって良かったと…心から思った。




coming soon…
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お読みいただきありがとうございました!