りさぽん🎸🦔


寤寐思服④の続きです


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終業式が終わったあと、ひかるが私のところに寄ってきた。



ひ「由依ちゃーん!さっき渡邉先生に頭叩かれてたでしょ?ずるーい!」



私やみいちゃんが思ってる以上に、ひかるは真剣に先生に恋してるのかもしれない。そんなささいな出来事も見逃さないってことは、先生をよく見てる証拠。



私が返事に困っていると、



美「ちょっと!ひかるまだ渡邉先生狙い?やめときなよ〜!絶対タラシだよ!」



え、タラシ?先生が?そんなわけない、
でも、ありがと、たすかった、




ひ「え、タラシ?可愛いから自然と人が寄ってきてるだけでしょ!」



そのときグループのひとり、夏鈴ちゃんの一言にみんなの笑顔が消えた。



夏「…あの人、彼女いるよ」




夏鈴ちゃんの落ち着いた声と表情にみんなは静まり返った。ひかるを諦めさせるための嘘ではことはみんな感じていた。



「夏鈴ちゃん、なんで知ってるの?」



ひかるが真剣な顔で聞いた。



夏「…1年生のとき、友達が告ったんだ。渡邉先生に。そしたら、教師らしくうまく交わされたんだけど、その子、結構本気でさ。ストーカーっぽいことしてたんだ、」



どんどん暗くなる私の表情を見て、みいちゃんは必死に話題を変えようとしてくれたけど、ここまで聞いて先を聞かないわけにもいかない。



由「それで、?」



夏「渡邉先生が、たまたま電車通勤した日に、一緒についていったんだ」



ひ「え、夏鈴ちゃんも一緒に?」



夏「うん、面白半分でさ。でも渡邉先生の家の近くのコンビニで、彼女と待ち合わせしてたのを見て、友達泣いちゃうし、大変だった」




彼女がいるんだろうなとはなんとなく思ってた。車の助手席のクッションで、彼女の存在は私の中でどんどん大きくなっていた。



でも、実際にこうして本当に彼女の話を聞いちゃうと涙が出そうになる。やば…泣いちゃいそう。




美「ゆいちゃん、ちょっとトイレ!」



私の異変に気づいたみいちゃんは、さっと私の手を引いてトイレへ連れて行ってくれた。



由「みいちゃん…やだよ、」



みいちゃんの胸で我慢できなくなった涙が次から次へと溢れてくる。




美「大丈夫、由依ちゃんは先生を好きでいたいんでしょ?じゃあ彼女がいてもいなくても関係ないよ。しかも1年の頃の話じゃん。絶対別れてるよ!」




なんの根拠もない言葉に私は救われた。そっか、別れてるかもしれない…



教室に戻って、夏休みの宿題をカバンに詰め込む。そのとき、先生の姿が見えた。こうやって教室まてま歩く先生の姿、何回みただろうな。



先生はゆっくり歩いてくれるんだ。そのおかげで私はじっくり先生の姿を目に焼きつけることができる。



次に先生と会えるのは数学の補習。8月だから全然会えない。




由「寂しいな…」




ちゃんと話してから夏休みに入りたい。じゃなきゃ勉強どころじゃない。「ありがとう」って言いたい。




由「みいちゃん!先帰ってて!私、話したい!」



私はびっくりしているみいちゃんを置いて先生のもとに向かった。




先生のクラス、職員室、どこに行っても先生がいない。



諦めて帰ろうと思ったとき、廊下の向こうからこっちに向かってゆっくり歩いてくる影が見えた。



由「せんせー!」



理「あ、小林さん。廊下は走っちゃだめですよ!」



先生がいたことが嬉しくてつい走ってしまった。。



理「罰として、補習追加ね」



由「追加?補習?やった!」



あ、思わず本音を言ってしまった。



理「補習の追加、嬉しいの?じゃあ罰にならない、」



由「んーん!補習やだなぁ、、」




どうしても補習を追加してほしくて、嫌なふりをしてみた。見破られるのはわかってたけど、




理「じゃあー、夏休みの間に1日だけ追加ね。2人っきりで教えてあげるからね?」



ふたりきり、?先生と、、え、ほんとに?



理「っていうのは嘘で、こないだの穴埋めね」



先生は少し顔を赤くさせて恥ずかしそうに言った。



由「穴埋め…?」



私には理解ができなかった。なんの穴埋め、?



理「だーかーらー!夜景!この前行けなかったでしょ!」



え、連れて行ってくれるの?嬉しい、どうしよう。。



理「じゃあ早く宿題終わらせなよ〜」



それだけ言うと先生は職員室に戻って行った。



夢じゃないよね?先生から誘ってくれた。。私のわがまま、覚えていてくれた。




先生の力ってすごい。
こんなに早く宿題を終わらせたことなんてない。いつも最後まで残してた私が、7月中にほとんど終わらせた。



だって、約束…したもん。



でも日にちも何も決めてない。先生と会えない限り、なんの進展もない。早く8月になってほしいと願いながら、過ごしていた。




その間、家では相変わらずお姉ちゃんが暴れていた。
泣いちゃう夜もあった。でも、窓を開けて星を見ると、先生が「がんばれ」って言ってくれてる気がして。
先生の存在が私を強くさせてくれた。




美「由依ちゃん、やっとだね!久しぶりに先生に会って緊張したらだめだよ?」




由「え、、そんなこと言われたら緊張しちゃう。」



早く先生来ないかな…




理「ごめんごめん!お待たせしました!みんな〜、久しぶりだね!」



美「先生なんか機嫌いいなぁ」



みいちゃんが言うようにたしかに普段の授業よりもテンションが高い、、かわいい、



理「小林さん!ちゃんと宿題した?」




由「んえっ、」




先生にとつぜん話しかけられて変な声が出てしまった。



理「なにその声」



先生がにこにこ笑ってる。かわいい、
だめだ、かわいすぎる。



変な声を聞かれたことが恥ずかしくて机に伏せた。



理「小林さん、寝たらだめだよ?」



なんかいっぱい話しかけてくれる。ほかにもたくさんの生徒がいるのに、、




そういえば、ひかるが来てない。早くも先生を諦めたってこと?みいちゃんは自信満々に「ほらなぁ」って笑った。



補習の参加人数が意外と少ないことに、先生は少し寂しそう。



理「せっかくやる気出して来てくれたし、今日はちょっとおしゃべりしよっか!」




先生はそう言って教科書を閉じた。







coming soon
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お読みいただきありがとうございました!!