りさぽん🎸🦔


学パロです


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由「先生、遠回りして…お願い、」




私は聞こえるか聞こえないかくらいの声で囁いた。



理「んー?なんて?」



先生は、目を丸くさせて私の顔を覗き込んだ。



由「まだ帰りたくない…」



また小声でわがままを言う。



先生は信号が変わるとスピードをあげて車を走らせる。聞こえてなかったのか…よかった、のかな?




先生の顔をちらっと見る。前の車のブレーキランプで赤くなる先生の顔。




理「じゃあー、あのときの罰ゲームってことで、夜景見に行こっか!」



ん、?え、聞こえてたの、?夜景…先生と、ほんとに、?




先生は、そう言うと私の家とは反対方向へUターンした。



理「そのかわり、お母さんに電話しなさい」



急に先生らしい口調、、私は言われるがままにスマホでお母さんに電話をかけた。



お母さんとの電話を切ると同時に、抑えきれず涙がこぼれた。お母さん、、泣いてた。バレないように明るい声を出してたけど、声が震えてた、



理「どしたの?怒られちゃった、?」



心配そうな先生の顔を見たら、また涙が溢れてきた。



由「もう…やだ…」



言葉足らずの私に、先生は不安そうな顔をしてる。



理「もう、帰ろっか。」



先生は私の顔をチラチラ見ながら、車のスピードを緩める。




由「ううん。違います、先生がわがまま聞いてくれたことが嬉しくて…」



車をゆっくりと路肩に停めて、私の目をじっと見てくる。そして、大好きな大きな手で私の頭を撫でてくれた。



理「小林さん、正直に言って。なんでも聞くから。」




先生の真剣な目は、私の心に語りかける。



由「お母さん、泣いてた。本当なら今すぐ帰ってあげなきゃいけないってわかってる。でも今日だけ。今日だけ、幸せな夜を過ごしてもいいよね…?」



こんなこと言ったら、先生困っちゃう?




理「家庭で辛いことがあるのかもしれないって、1年生のころから思ってた。授業中もよく窓の外見てたし、でも友達といる時はいつも笑顔で…友達には言えない悩みでもあるのかなって、漠然と感じてた。」




私だけが先生を見てるって思ってたけど、先生も私の気づかないところでちゃんと見ててくれたことが嬉しかった。




理「だから…!話を聞くことしかできないけど、私…力になれる?小林さんのこと見てると、私と似てるなって思う時があるの、」



似てる?わたしと…



由「え?先生も何か悩んでるの?」



先生は優しく微笑んで私の質問を誤魔化した。



理「どうしようもない悩みって辛いよね。努力ではどうしようもできないことって」




先生は車の音楽を止めた。




理「話せるかな?」




先生には全部話してもいいのかな。
でもどう話したらいいのかわかんない。。




由「誰にも話したことないから、何から話したらいいのかわかんない、」



理「ゆっくりで大丈夫だから」



由「私、4つ年上のお姉ちゃんがいるんだけど、ものすごく荒れてて…。小さい頃からいじめられたり、泣かされてた。でも中学くらいからお母さんにもひどいことするようになって、、うう…っ」



ヒクッ




お母さんの笑顔が頭に浮かんで涙が止まらなくなった。
先生は、私の頭の上にそっと手を置いて、その手をゆっくりと動かす。



由「お母さん、ずっと家族のために頑張ってた。それなのにどうしてお母さんが苦しまなきゃいけないのかなっ、て…」



理「…お母さんにとって、小林さんの存在がどれほど大きいかわかる、?」



先生はじっと私の目を見つめてそう言った。
私の存在がお母さんにとってどれだけ大きいかなんて考えたことなかった。お母さんは私がいることで少しはラクになってる?




由「お父さんは、仕事で帰りが遅いから。ほとんど毎晩、お母さんと私…泣いたりして…」




車の中の空気は、私と先生だけのもの。狭い車内で私は先生に自分の心の中をさらけ出した。



30分くらい、先生は何も言わず、頷きながら話を聞いてくれた。誰かに話すことがこんなにも気持ちを軽くしてくれるなんて知らなかった。



お姉ちゃんはいつも大音量で音楽をかけていて、それを注意するお母さんに暴言を吐いたり、物を投げたりすること。お姉ちゃんは家族と一緒にご飯を食べないこと。気に入らないことがあると2階の自分の部屋で暴れてものすごい音がすること。




私がお母さんを守ろうとして、注意したり文句を言うと、余計に激しく怒って、髪を引っ張られたりすること。



先生はただ、穏やかな顔で、私のまとまりのない話を「うん、うん」って。「そうだね」って。



私が話し終えると、先生は私の頭を肩に引き寄せてくれた。



理「大丈夫だよ。小林さんは間違ってない」



何度もよしよししてくれて、私は子供のように先生に甘えた。私の罪悪感を、先生が消してくれた。



由「先生、今日はもうお家帰る。お母さんが心配だから…」




先生は、「えらいえらい」ってまた頭を撫でてくれた。




家の前まで来て、先生はバックミラーで前髪を整えて、



理「小林さんのお母さんに会うんだからちゃんとしないとね」



なんて言ってにこって笑った。もともと整っているのに。



先生と私が玄関へ入ると、お母さんはもう泣いてなかった。2.3分立ち話をして、先生は帰っていった。



由「先生、ありがと」



理「んー?あ、夜景はまた今度ね」




先生は窓から手を出して振ってくれた。



今日は神様からの贈り物かなぁ、
当分は、先生のことを考えて眠れそうにないな




なんて夜風に当たりながら、ぼーっと考えた。




coming soon…
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お読みいただきありがとうございました!!




えーっと…めちゃめちゃ長くなりそうです、笑
ごめんなさい、、最後まで読んでくれたら嬉しいです!!