りさぽん🎸🦔



寤寐思服①の続きです


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高校2年の夏。
先生の'特別"になりたいと思ったあの日から、月日だけが流れた。2年生でも担任になりますようにと何度も願ったけど、渡邉先生は隣のクラスの担任。数学の授業だけが唯一の楽しみだった。




理「来週から夏休みに入るけど、補習の人はちゃんと来るようにねー!授業中ずっとぼーっとしてた誰かさんにもしっかり教えてあげるからね」




チラっと私のほうを見た先生。いたずらっ子のような目をしてた。その目が好き。厳しいけど、いつも私のことをいじってくるところが好き。



補習があるなんて知らずに授業中、先生に見とれていた私だけど、願ってもなかったチャンス到来!




去年の夏休み、先生に会えないことが寂しかった。



真っ白な肌に首元で光るネックレス。かわいい…



理「小林さん!?どうしたの?気分悪い?」



ぼーっとそんなことを考えていた私に、先生が声をかける。目の前が、まるでスモークがかかったように綺麗。先生しか見えない…。先生…好きです…。




・・・あれ?ここどこだろ?
あ、保健室だ。記憶を辿る、、私、数学の授業中に、先生に見とれてたまま意識を失っちゃったんだ。誰がここまで運んでくれたんだろう…。




もしかして先生が運んでくれた、?もしそうだったら意識を失ってたことがもったいない。こんな機会、もう一生ないかもしれないのに。時間が戻ってほしい、



理「どうですか?小林さんの具合…」



先生の声。いつもの落ち着いてる声じゃなくて少し焦っている声。



「ずっと眠ってますよ。熱も下がったし、目が覚めたら送ります。」



保健室の先生の声。



理「私が送ります。ご両親にもちゃんと説明しないと。」




ん、ええ?先生が、私を?送ってくれるの?
また熱上がっちゃうよ…




足音が近づいてきた。どうしよ…。カーテン開けるのかな?カーテンが開けられたのと同時に私はとっさに布団に顔を押し込めた。



理「寝てますね、もう2時間も寝てる…」




私は自分が2時間も眠っていたことを知って、最近寝不足気味だったことを思い出した。



「じゃあ、あとはよろしくお願いします。」



保健室の先生は、私と先生を残してあっさり帰ってしまった。でも、おかげでふたりきり…!



先生…?先生は、私の頭を撫でてくれた。時が止まったかのように静かな空気。このままずっとこうしていたい。




先生の手が触れていることが信じられない。夢みたいなことが現実に起こってる、、先生の手は、大きくてあたたかい。その手は、布団の中の私のほっぺたに触れた。



ピクって動いちゃった私に、先生の手も驚いたように反応した。



理「ごめんね、起こしちゃった?大丈夫?私、誰かわかる?」



先生は、優しい笑顔で私を包み込むように穏やかに話しかけてくれる。



由「うん…わたなべ、せんせい、」



私の答えに、先生は目をくしゃっとさせて笑った。
先生はもう一度私の頭を撫でてくれて、、




理「よくできました!熱下がったね、よかった」



安心した顔になった先生は可愛くて、、



由「心配かけてごめんなさい、」



理「んー?ほんとだよ!いきなり私のことみて倒れるんだから!すごい焦った…」




先生に迷惑かけてしまった。





理「でも今こうやって小林さんと話せてるからよかったのかなって」




先生の顔がすごく近くにある。こんなに近くで話すのは初めて。こんなことはもう二度とないのかもしれないって思った私は、必死で先生の顔をみた。
近くでしか見えない先生のまつ毛やほくろ。




由「先生ともっともっと話したいです。もっと仲良くなって先生のそばにいたいです」




私…何言ってるんだろ?こんなこと言うなんて、告白みたいなもんじゃん。先生困るだけなのに。。




理「私も、もっと小林さんと話したいなって思ってたよ」




鈍感なの、?それともわざと気づかないフリをしてくれているの?そりゃそっか。だって先生だもんね、教師と生徒だもんね、生徒に告白されるほど困ることってないよね…




理「今日は私が車で送るから。お母さんにはさっき電話しておいたよ、歩ける?」



由「立てないです…先生、抱っこして」




理「なーんで!小林さんのことはもう抱っこしました」



先生がにやにやしながら言ってきた。



由「先生、わたしのことお姫様抱っこしてここまで運んでくれたの?」



理「なんでお姫様抱っこなの、笑」



由「なんとなく…」



理「お姫様抱っこはしてないよ、おんぶして運んだ!」



先生はなぜかずっと笑ってる。



由「えー、おんぶか、」



理「ほら!歩けるでしょ?帰るよ!」




先生は私の手を取り、保健室から出た。
先生の手をにぎるなんて…初めて!
渡邉先生…だいすき!



由「わ〜!先生の車、シンプルだね!」




うちの車とはまったく違う雰囲気の車内に、大人を感じた。車内には特に何もなくほんとにシンプルだった。
でも唯一、私の興味を引いたのは助手席のクッション、ふわふわのクッションは、私を複雑な気持ちにさせる。



由「先生…彼女のためのクッション?」




先生はどう答えるんだろ…生徒からのこういう質問に、どう答えるかってマニュアルがあるのかな。



一瞬の沈黙のあと、先生は笑った。



理「ふふ、鋭いね」




先生は、それしか言わなかった。聞くんじゃなかった。せっかくの、先生との最初で最後かもしれないドライブなのに…。家になんて帰りたくない。




由「先生、遠回りして…おねがい、」





coming soon…
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お読みいただきありがとうございました!