ケン「話がまた脱線してしまったな。つづきを話そうか」
けん「うん」
---------⑪からのつづき------------
ケン「キミ自身の生きる意味はなんとなく分かったかい?」
けん「そうだね。具体的に何とははっきり言えないけど、ボクはボクだけの生きる意味があっていいってことでしょ?」
ケン「そうだな」
けん「そしてそれは、あってもなくてもいいし、「見つける為」ってことでも生きる意味になる」
ケン「そういうことだ」
けん「でもそれってさぁ、一生見つからないかもしれないよねぇ」
ケン「そうだな」
けん「そうしたらどうするの?」
ケン「どうするもこうするもない」
けん「え?」
ケン「「生きる意味を探すために生き抜いた」そう言えるなら、それもまた素晴らしい人生じゃないかね」
けん「そっか、なるほど」
ケン「見つかった結果だけが大事ではないんだ」
けん「うん」
ケン「見つける為にどれだけのことをしてきたか。そこも大事なのだよ」
けん「そうだね」
ケン「それにボクは、見つからないことも幸せだと思っているよ」
けん「え?どうして??」
ケン「見つかったら幸せになれる人もいると思う」
けん「うん」
ケン「だがそれは逆に言えば」
けん「うん」
ケン「見つからなくて幸せな人が必ずいるということだよ」
けん「見つからなくて幸せ??」
ケン「ひとつ考えてみるといい。人間の世界ではお金をたくさん持っている人だけが幸せなのかい?」
けん「お金?」
ケン「そう。お金だ」
けん「そりゃたくさんあるほうがいいと思うよ」
ケン「そうだな。では逆に持ってない人は全員みんな不幸なのかね?」
けん「いや・・・・・そんなことないと思うけど」
ケン「そうだな。もしそうだったら人はお金を持っていることこそ幸せで正義と言える」
けん「う~ん」
ケン「要は、人によって幸せの感じ方や感じるところは違うということだよ」
けん「なるほど」
ケン「ひとりも同じ人はいないのだから」
けん「うん」
ケン「そしてそれは、どんなものだっていいんだ」
けん「いいの?」
ケン「もちろんだ。だがこれは人の社会の法に触れるようなことはいれてはダメだよ」
けん「なるほど、たしかに」
ケン「そこが守られていれば、どんな人が好きで、どんな場所が好きで、どんな趣味が好きでもいいじゃないか」
けん「そっか」
ケン「その唯一無二の「価値観」を見つけていくのも生きる意味だとボクは思うよ」
けん「うん、そうだね」
ケン「たとえ見つからなくても、探す人生が楽しければそれでいい」
けん「うん」
ケン「もし見つかったら全力でそれを大事にして幸せを感じればいい」
けん「うんうん」
ケン「答えはひとつじゃない。ひとの数だけあるんだよ」
けん「そっか、なんかわかった」
ケン「大切なのは物の有り無しでも量の問題でもないんだ」
けん「うん」
ケン「自分がどんなもので幸せを感じるか知っていることなんだよ」
けん「知っている?」
ケン「ああ」
けん「それを知っていれば幸せなの?」
ケン「それだけで幸せとは言わないが、知っていればいいことがある」
けん「いいこと?」
ケン「どんなことで幸せを感じるかわかっている。そしたら今度は、その幸せを感じるために動ける。つまり行動できるだろ」
けん「行動?」
ケン「ああ、キミだって自分が幸せを感じることがあると思う」
けん「うん」
ケン「どうせならいつも幸せのほうがいいじゃないか」
けん「そうだね」
ケン「そのためにわからない人は見つけようと動いて」
けん「うん」
ケン「見つかればその幸せを感じるためにたくさん努力したりするはずだ」
けん「そうだね」
ケン「そうやって幸せを感じて、また努力や行動をして幸せを感じる。その繰り返しでひとは幸せなんじゃないか」
けん「そうかもね」
ケン「生きる意味とは、自分だけが感じる幸せを探す旅でもいいと思う」
けん「そうだね」
ケン「だから、キミも見つけるといい」
けん「わかった」
ケン「見つかったらボクにも教えてくれ」
けん「え?いいけど、なんで?」
ケン「全力で阻止してみよう」
けん「やめなさい。冗談に聞こえない」
ケン「ボクはいつだってまじめだ」
けん「ああわかったわかった。絶対教えないよ!」
ケン「キミはつめたいな」
けん「きみに言われたくないよ」
ケン「・・・・・」
けん「・・・・・」
ケン「・・・・・」
けん「・・・・・」
ケン「・・・・・」
けん「・・・・・」
ケン「フッ・・・」
けん「ふふふ」
ケン「・・・・・」
けん「あはははは」
ケン「・・・・・」
けん「・・・・・」
ケン「・・・・・」
けん「・・・・・」
ケン「・・・・・」
けん「・・・・・」
ケン「・・・・・」
けん「いつか・・・・」
---------⑬最終話につづく-----------