この記事では、非住宅案件(庁舎、学校、その他公共施設など)の建築物において、どのような場所に電気工事として点検口が必要かを解説したいと思います。


点検口の設置は建築工事になりますが、建築設計者や建築の施工者から、電気で点検口が必要な箇所を聞かれることがあるかと思います。

その時に、どのように答えたらいいかという目安をまとめてみました。



あくまでこの記事では、電気で必要な点検口の箇所を解説するため、建築のシャッター用の点検口や機械設備用の点検口については、ここでは対象外とさせていただきます。



結論から言うと、電気工事で点検口が必要な場所は主に以下の3箇所になります。


(1)各部屋及び通路・廊下の1スパンに1個と曲がり角に1個
(2)EPSの前
(3)区画貫通の箇所




1つずつ解説します。


(1)各部屋及び通路・廊下の1スパンに1個と曲がり角に1個
↑1スパンに1個の点検口


上の写真を見てもらった分かる通り、梁ごと、つまり、1スパンごとに点検口が設置してあります。

天井裏の梁の部分は他の部分と比べふところが狭いので、梁ごとに点検口を設置しなければ、天井裏に入ったときや覗いたときに梁に遮られ、アクセスできない場所が出てきてしまいます。

よって、1スパンに1個の点検口が必要となります。

居室についても同様ですが、梁があったとして、そんなに大きくない部屋なら1個程度の点検口で済ましてしまう場合が多いです。
最悪、埋込の照明器具なら、外せばそれが点検口の代わりになるという考え方もあります。

あとは、通路・廊下の曲がり角にも設置したほうがいいでしょう。

注意点として、点検口上部には配線を通さないようにしましょう。点検口をあけたときに、点検口上部に配線が通っていると、それが邪魔になり点検が出来なくなってしまいます。

天井裏って人が入っても大丈夫なくらい頑丈なの?と思う方もいるかもしれませんが、一般的な軽鉄で組んだ天井については、どの部分でも頑丈なわけではありません。直接スラブから全ねじで吊ってある野縁受けなら乗っても大丈夫ですが、クリップで止められてる野縁は耐荷重が引いため、乗ると落下してしまいます。ボードについては言うまでもなく乗ったら落ちてしまいます。そのため、もし天井裏に入る際は、足場板などを使用して重みを分散させる必要があります。
また、体格の良い人だと入れなかったりするので、更新の際は極力天井裏に入らないで済むように、点検口から顔を覗かして、竿などを使って、ころがしでケーブルを敷設する場合が多いかと思います。
(実際には、天井裏に入っての作業は、よほどのことがない限りは行われません)
↑軽鉄で組んだ天井裏

先ほど、曲がり角にも設置と言いましたが、ケーブルラック使用の場合、ケーブルラックが曲がるところにも設置が必要です。
基本、廊下内では、ケーブルラックは直線で施工しなければ、あとからの配線の追加がしやすいというメリットが薄れてしまいます。しかし、建築や機械の影響でどうしてもここの部分だけ避けてほしいと言われ、クランクのように施工することがありますが、その場合は、点検口は必須です。



(2)EPSの前

EPSには大量の配線が通っています。大量の分岐回路や場合によっては幹線まで多数のケーブルがEPSに集結します。

配線が大量に通るため、なにかトラブルがあったり、更新したりするときのために点検口が必要となります。

特にケーブルラックの場合は、あとから配線を追加したりもするので必須です。

配管の場合は最悪なくてもいいですが、プルボックスのところや配管の始点や終点にはほしいです。

あとは、総合盤(自火報のではなく弱電全体の)の前にも点検口は必要となります。



(3)区画貫通の箇所

区画貫通処理は、経年劣化ではがれることもありますし、特にケーブルラックの場合は配線を追加することがあるので、そのときに区画貫通処理をいじれるようにする必要があります。
よって、点検口は、できれば区画貫通の近くか、離れたところに設ける場合は、天井内に入ってそこまでいけるくらいのふところが天井裏に必要となります。
配管の場合は最悪、目視で確認できればいいので、ちょっと離れたところでもいいかなとは思います。

ケーブルラックの区画貫通部については点検口を直近に設けないとかなり配線の追加がやりづらくなります。
しかし、いくら点検口があるとはいえ、例えば学校などで、廊下→教室→廊下などと迂回するようなラックルートは114条区画を2回も通過することになり、いくら点検口があっても、あとからの配線の追加の関してはかなり使いづらいものになってしまうので、避けたほうが良いでしょう。
ケーブルラックのメリットを活かすためにも、極力、直線で施工し、区画貫通は避ける。それでも無理ならやむえず、点検口をつけて対応するという形になると思います。



以上が、点検口が必要な箇所になります。
実際の現場では、上記にとらわれず、どこに設置すれば後のメンテナンスがしやすいかという観点で点検口を設置していただければと思います。


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