この記事では、非住宅案件(庁舎、学校、その他公共施設など)の電気設備工事において、天井裏のふところがどれくらい必要なのかについて解説していきます。


電線管やケーブルラックを通す場合の天井裏のふところはどれくらい必要か?

ケーブルころがしの場合の天井裏のふところはどれくらい必要か?

埋込の照明器具をつけるときに必要な天井裏のふところはどれくらい必要か?

の3つをメインを解説します。




天井や天井裏には器具やケーブルラック、電線管、天井ころがしのケーブル、ハンガータイプのケーブル支持材など多数の電気設備が配置されます。



実際には電気設備よりも機械設備のほうが太物が多いので、機械が通れば電気のものも通るという考えに落ち着くことも多いのですが、そうでない場合もあるので電気は電気でどれくらいの有効が必要なのか建築に要望を出す必要があります。



それではパターンに分けて、それぞれどれくらいの有効スペースが必要なのか解説したいと思います。



ケーブルラックの場合


ケーブルラックの場合以下のスペースを考慮する必要があります。


(1)ケーブルラックの厚み

(2)ケーブルラックの上の空間

(3)ダクター



(1)のケーブルラックの厚みは100となります。


(2)のケーブルラックの上の空間ですが、最低でも100は必要となります。なぜならそれくらいの隙間がないと、手が入らないからです。ケーブルの敷設や撤去ができなくなってしまいます


(3)のダクターはケーブルラックの下についてるラックを支える部分です。

ざっくりですがこれも100くらいほしいです。


よって、(1)-(3)を積み上げていくと、

空間(100)+ラックの厚み(100)+ダクター(100)=300


最低でも有効で300必要ということになります。



梁下については、最悪ケーブルラックの上のスペースをなくしてしまってもいいので、梁下に限り有効で200でも可ということになります。


もちろん、それでは梁下のケーブルが触りづらくなるので、できれば梁下でも他の部分と同じくらいのスペースはほしいところです。

↑梁下のケーブルラック






電線管の場合


基本的にはケーブルラックと同じスペースが必要です。100Φ以下の電配管なら、ケーブルラックと同じ300くらいの有効が必要でしょう。




照明器具の場合


埋込の照明器具については天井裏にもある程度のスペースが必要です。


↑照明器具埋込のための開口及び吊りボルト



照明器具の場合は以下のスペースについて考慮する必要があります。


(1)天井裏にはみ出る器具の厚み

(2)吊材(吊りボルト)




(1)の器具の厚みは一般的な照明やダウンライトの場合は150を見ておくとよいでしょう



(2)の吊材は50くらいを見ておくとよいでしょう。



よって、

器具の厚み(150)+50(吊材)=200


最低でも有効で200は必要となります。




ケーブルラックと照明がある場合


照明器具の上にケーブルラックも通るという場合を考えてみましょう。(非常に多いパターンです)


普通に考えれば、ケーブルラックで必要な有効300+照明器具で必要な有効200で、合計500となりますが、実はそうはなりません。



その場合は

空間(100)+ラックの厚み(100)+器具の厚みやラックのダクター(200)=400


となります。


よって最低で400必要です。




天井ころがしでケーブルのみが通る場合


続いてケーブルのみ通る場合を考えてみましょう。


図面上でケーブルころがしとなっていても、天井材に負荷をかけないため、新築では通常、ケーブル支持材にてケーブルを支持します。




その場合は少なくとも150はないと厳しいです。

できれば300くらいはほしいですね。



どちらにせよ、同じ天井面に照明器具も取り付けるなら、結局200くらいの有効は必要となります。



ボンドで貼り付けるタイプの配線支持材や(本当の意味での)天井こがしなら100や50とかでもいけないことはありませんが、やはりしっかりとスラブにアンカーを打ってケーブルを支持するのが理想です。

梁下限定で有効で50とかなら許容範囲かなとは思います。


↑ボンドで貼り付けるタイプのケーブル支持材





以上が私が考える天井裏に必要な最低限のスペースとなります

ざっくりとまとめると、どの場合でも大体400くらい必要と思っておけば大丈夫です。

それが厳しいと言われたらこの記事で解説したような最低限必要なスペースを検討すれば良いでしょう。

ただケーブルラックが2段以上になる場合や電気の下に機械設備の配管なども通る場合は、更にそれも考慮する必要がありますので、ご注意ください。



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