画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎 展 @静嘉堂文庫美術館

4月13日(土)~6月9日(日)

 

 

河鍋暁斎と松浦武四郎とは?

 

河鍋暁斎(1831~89)は幕末から明治時代に活躍した絵師で、下総国古河石町(現茨城県古河市中央町に生まれた。

浮世絵師の歌川国芳に弟子入りした後に、狩野派の門を叩き、最初に妻としたのは江戸琳派・鈴木其一の次女で、様々な画風の作品が遺されている。

また弟子の一人に、ニコライ堂や三菱一号館を設計した、ジョサイア・コンドルがいたことでも知られ、欧米での人気も高い。

 

松浦武四郎(1818~88)は現在の北海道である蝦夷地の各地を探検し、歴史や地理、文化や風俗などを自ら著した、関連書籍を多く出版したことで知られる。

また「北海道」の名付け親と言われることもある。

 

絵師・河鍋暁斎と、探検家で好古家・著述家である松浦武四郎二人の交流は明治の初め頃からで、武四郎は愛玩品を集めた書物『撥雲余興(はつうんよきょう)』(1878・明治10年と1883・同15年に出版)の挿入画を、河鍋暁斎などの絵師に依頼した。

 

好古家とは、読んで字の如く「古(いにしえ)を好む者」ということで、歴史や民俗に興味や関心を抱き、古文書や仏像などの収集し研究・保存に携わった。

 

 

松浦武四郎のコレクションである《六鈴鏡》と、図録『撥雲余興 二集』明治15年(1882)・松浦武四郎著・出版、福田行誠序、静嘉堂蔵

今回の特別展では、松浦武四郎の古物コレクションのいくつかと、それらが描かれた『撥雲余興』の該当ページを並べて見ることが出来る。

松浦武四郎という偉大な探検家であり好古家が存在したということを知った。

自分が歩んだ骨董古美術の大先達に出会えたことは嬉しい。

 

 

収集品の「法隆寺百万塔」と「陀羅尼経」

「陀羅尼経」は世界で最初の印刷物ともいわれる。

 

小さなものから大きなものまでの木彫像‥、楽しい小品も多い。

 

 

 

 

「武四郎涅槃図」に描かれた「大首飾り」

縄文時代~近代までの勾玉を始めとしたヒスイなどの大小の玉石を繋ぎ合わせた首飾り。

 

晩年の松浦武四郎は全国各地を巡り、骨董品のほか奇石や古銭、勾玉の収集に熱中したという。収集の幅の広さ、純粋にものを観る目の確かさは天才的。

あまり知られた人物ではなかったが、近代の大収集家であり今回の展覧会で名を知らしめた。収集品を一括して手に入れ今回の展示につなげた静嘉堂文庫(三菱)の業績も大きい。

 

 

第4章では、武四郎の親友・川喜田石水(1822~79/川喜田家第14代)と実業家で陶芸も能くした川喜田半泥子(1878~1963/川喜田家第16代)、岩﨑小彌太(1879~1945/三菱第四代社長・静嘉堂初代理事長)との縁も紹介している

 

 

また同館所蔵の、国宝《曜変天目》(南宋時代)が見られるのも格別だ。

照明の効果もあるだろうが、はるか天空を望んでいるようだ。