駒形どぜう@台東区駒形1-7-12
40~45年前に浅草在住の友人を訪ねた際に、連れられてこの店の暖簾をくぐった。話で聞いたことがある「どぜう鍋」が、我が家で食していたドジョウとは大違いだったびっくりした。
(末尾に、子供の頃の我が家のドジョウ料理がどうであったか記しておく。)
一階の入れ込みの座敷は、江戸時代と変わらぬ風情を感じる。
座敷に上がるのは下足を預け、木札を貰う。
他の「飯田屋」或いは桜鍋の「中江」や「みの家」なども同じスタイルで、江戸時代からの風情を感じる。
板の間には、竹か籐かあるいは別の素材か分からないが敷物が敷かれた上に客が一列に相席として座るのが宜しい。
この日は東京に住んでいる息子に江戸情緒を体験してほしい、と同伴した。
80を過ぎ、先があまりないと感じるこの頃、一緒に飯を食う・酒を酌む機会を作ろうと思っている。
品書きは沢山あるが、「どぜうなべ定食」と「さきなべ定食」をひとつづつ頼み、両方を味わうことに。
定食は「なべ、田楽、どぜう汁、お新香、ご飯」が付いてくる。
刻みネギが山ほどのり、一味と山椒が置かれた木桶が運ばれる。
先ずはビールで乾杯。
日本酒が良いのだが、この日の暑さでは麦酒だ。
豆腐と蒟蒻の味噌田楽。
江戸時代の居酒屋の人気のつまみは「味噌田楽」と聞いたことがあるが、その名残か。
小さな七輪に熾った炭火、その上に小さな鉄鍋に泥鰌。
「丸のまま」と「割いて骨を外した」は好みによるが、まるでも、生きたドジョウを酒に漬け水分が酒と入れ替わったら、江戸の白みそでじっくりと煮上げるから、骨は柔らかい。
「まあ、こんなに格好よく」と思える程に見事に並んでいる。
浅い小さな鉄鍋を使った「小鍋仕立て」の鍋料理は誠に趣がある。
「どぜう汁」も酒でころして、江戸白みそ仕立て。
コクがあって家でのドジョウ汁とは別物。
*泥鰌は、子供の頃の夏の食卓の定番の一つ。
近所の「八百徳分店」の店先の樽の中で上下に泳いでいる小さなドジョウを鍋持参で買いに行き、お袋が台所で火にかけるとバタバタと跳ね上がり、おとなしくなったら茄子と合わせて炒め煮、味付けは醤油、玉子でとじる。
細くて小さな泥鰌だが、骨も口に当たるし幾らかの苦みも有る。
そんな簡単な料理だが、妻が嫁にきてもお袋のレパートリーで子供たちも食べた。お袋が亡くなった頃にはドジョウも売らなくなった。
当然、丸のままで割いたりしないのが当たり前だった。
細い泥鰌を割くなんて包丁さばきは職人しかできない技だから。








