常陸大宮市鷲子に在った「ル・トン」覚えていますか?

 

 

 

水戸市銀杏坂でレコード店「フジディスク」を経営していた木村さん。

ジャズを聴くのは趣味であり仕事でもあったが、時計・陶器・ランプ・ミニカーなど幅広いジャンルの収集家、車やバイクも大好きで、多趣味な方だった。

蒐集品を眺めながら、好きなレコードを聴いて一日を過ごしたい。

そんな贅沢な望みを叶えるため、商売をやめた。

 

 

 

 

それから数年、気に入った土地を探し、家を建てた。

茨城と栃木の県境の常陸大宮市鷲子830-1、県道から一段下がった眺めの良い場所にギャラリー兼リスニングルームが完成した。

 

同好の士と喜びを共有したい。

気楽に立ち寄ってもらえればと考えコーヒー店を営業することにした。

「こんな所まで来るもの好きの客は居ないだろう」と思った。

ところが、コレクター仲間が遠方から訪れる、ゴルフの帰りの人達も立ち寄る。

道の駅「北斗星」から車で5分足らずの洒落た店は噂を呼び、国道293号の隠れ家となった。

 

 

 

洗練された器で提供される飲み物とカレーライスも魅力があった。

カレーライスは八王子(と聞いたが)で営業されている息子さんのレシピとのことだった。

 

 

 

 

何年に開業し何年間に渡り営業したのか?

詳しくは覚えていないが、その後体調を崩され、療養の後に亡くなられた。

敷地は借地であったのでまもなく解体された。

今ではどこにあったのか定かでない程に時間が経過した。

 

年々、骨董の仲間が少なくなってくる。

気がつけば、ほとんどが鬼籍に入られた。

木村さんとは収集の範囲がまるで異なったが、優しい人柄と「ル・トン」の店の内外の様子は今も記憶に残る。