『水戸市水道写真帖』(1932年・小貫写真館)

 

 

 

『水戸市水道写真帖』(1932年・小貫写真館)

 

水戸市見和在住の後藤一彦さんが、父親の遺品を整理中に祖父の直彦(当時、市土木・水道工務課長)のアルバムを発見し、水戸市に寄贈した。

アルバムはフィルム原版からプリントされた写真が添付された貴重品なので「水戸市立博物館」で所蔵し、水戸市水道部が『水戸市水道写真帖』として、2016(平成28年)8月にレプリカ(複製本)を制作した。

 

ところが、これとは別に『水戸市水道写真帖』(小貫写真館)が存在した。

「水道工事」ではなく単に「水道」としていることから1932年の竣工を記念して市民に販売されたアルバムのようだ。

小貫写真館が発行したように記されているので、工事に関する一連の写真は同館が行ったのであろう。

 

水戸市水道部制作の復刻版とほぼ一緒の内容だが、工事関係者の部署・役職・氏名が分かること、更には工事を請け負った工務店などが記載されているこ

「水戸市の水道」という市民にとって重要なテーマについて「再認識する」作業を始めて、今日、このアルバムを手にした時「新発見」と心が躍った。

 

 

この工事に関わった首脳部と言える一団。

市長・鈴木文次郎、助役・倉持平十、収入役兼水道経理課長・山口新、土木課長兼水道工務課長・後藤直彦、庶務課長兼水道庶務課長・谷伴夫の5名。

 

工事中枢で指揮した後藤直彦の役割は大きい。

◎今回の「水戸市の水道工事」を調べる発端になった人物。

 

 

技術関連の顧問:工学博士・茂庭忠次郎、技師長・岡田卯之助、嘱託・大口章次、嘱託・大森茂、嘱託・海老澤民之。

 

 

庶務主任・高橋六郎、技術主任・原芳男、浄水場工営所主任・今村謙輔、配水塔工営所主任・後藤鶴松、鉄管敷設工営所主任・伊藤金太郎。

 

 

市役所脇に在った「水道事務所」は工事全般の中枢本部。

 

 

浄水場工営所。

 

 

配水塔工営所。

中央が後藤鶴松で配水塔が文化財指定を受けたことで名前が出てくる方。

何故なのか?疑問を持っていたが、配水塔主任であったことによる。

 

 

 

鉄管敷設工営所。

 

 

市内全域に配水鉄管を敷設した。

 

 

水道工事請負人氏名。

水戸市内の有名土木建築業・電気工事及び東京の高砂鉄工など。

 

2年間と言う短期間で、高台・低地の両方に給水する大工事。

建設機材は全て人力と言う時代に竣工に及んだ快挙。

水なしで生物は存在しえない。

更に、近代上水道という健康生活には不可欠の事業を推進した先達に大いなる感謝をささげる。