景観と歴史を大切に・新国立競技場

 

新国立競技場は白紙に戻されたが、計画案に対し建築家の槇文彦さん(85)は以前から疑問を呈している。共感できるので再録した。

 
 

2013年11月7日、新国立競技場に関する要望書を提出し、記者会見する建築家の槇文彦氏=東京・霞が関の文科省で(松崎浩一撮影)

 

 

 ◆損なう景観と歴史

 昨秋、新国立競技場の国際コンペで選ばれた最優秀案がメディアで公表されたとき、美醜や好悪を超えて、スケールがあまりにも巨大だというのが私の第一印象だった。

 

 もともと神宮外苑は東京の風致地区第1号に指定された場所。周知の通り、明治天皇崩御後に民間有志らの請願により、天皇を記念する神宮内苑・外苑、表参道・裏参道を一体として整備した歴史的経緯がある一印象だった。

 

 2016年の五輪招致計画のように、臨海部に建設する案ならいい。聖徳記念絵画館とイチョウ並木を中心に濃密な歴史と美観を保つ地域、しかも限られた敷地(約11ヘクタール)に、総床面積29万平方メートルという五輪史上最大のメーンスタジアムをなぜ建てなければならないのか。

 

 五輪会場の基準として8万人収容が条件としても、例えば昨年のロンドン五輪のメーンスタジアムは、総床面積約10万平方メートルで東京の3分の1、逆に敷地は1・5倍とゆったり確保された。しかも8万席のうち6割以上が仮設席で、五輪後は縮小し使うという。

 

 そもそも、ロンドンやアテネ、シドニーの約3倍にあたる総床面積29万平方メートルが条件というコンペの募集要項にはどんな根拠があるのだろうか。敷地に余裕がないため大きな地下駐車場などサポート施設を内部に作るうえに、店舗や博物館、図書館なども入れる構想のようだが、関係者からなぜそれらが必要なのか、明確な説明はない。(以上)

 

 

  

 

 

公共建築には歴史と景観を大切にする理念が必要。

選考に残った案のいくつかが紹介されたページ(槇文彦氏とは関係ない)のツヨシ・タネ氏(フランス)の作品。

高さが15メートル以内(ビル5階見当)ではないにしても、中央線・絵画館・神宮球場などとの関連は調和がとれているように見える。

天井を覆う植栽の管理など、上手くいくのか?の不安は感じるが。