山口晃展 「前に下がる 下を仰ぐ」

@水戸芸術館 現代美術ギャラリー

  

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超高層ビルと古い日本家屋、その地下には地下鉄が走る。

侍姿の人物が馬の形をしたオートバイにまたがる。

時代や空間を超えた建物や人物を大和絵の様タッチで精密に描きこむ画風で知られる現代美術家・山口晃の展覧会。

 

縦に横に、更には斜めに自由自在に時空間が展開していく。

時には漫画風にユーモラスな作品も。

1994年東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業、1996年東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了。

2001年に岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞を受賞。

2013年に『ヘンな日本美術史』で第12回小林秀雄賞を受賞。

など、履歴を見ても分かるが、美術史にも詳しい知識と、江戸時代の絵師を思わせる巧みな技術をもっている。

日本画を思わせる描き方だが、日本画とは言えない。

 

4室『日々のよしなしご言』でも書いているが、「日本画」と云う概念は明治時代に西洋画が入ってから作られた言葉、と云われ、なるほどと了解。

大和絵も中国の絵画に対して作られた言葉、日本の文化は渡来のものに対し、存在を認めながら上手く受け入れてきた。

 

水戸芸術館の1室から6室までを《行きつ、戻りつ》する展示空間は作家自身の考えで構成したのだとか。

「前に下がる 下を仰ぐ」と意味不明なタイトルだが、要は、自分自身を良く考えてみよう、と云うことのようである。

 

  

 
 
  

3室の『忘れじの電柱イン水戸』はエルメスギャラリーの再現と思うが、跨線橋の様な木の階段を上り下りしてみると、なかなか面白い。

『自由研究(柱華道)』は電柱の配線の為の様々な技法が《華道》から発生した、と云う、嘘か真か分からない説だ説得力がある。

 

5室は『ベンチ』『紙ツイッター』等の様々な新作。

よく、いろいろと考えるものだと感心した。

 

今回の展覧会は超人気で、東京からのバスツアーもあるほど、若い人達が大勢だ。僕は地元だから、今日を含めて3回目。

作者のやり方なのだろうが、展覧会当初の姿ではなく会期中も描き加えたるから、会期末にはかなり充実してきた感じがする。

 

細長い6室は『無残ノ介』と『続・無残ノ介』劇画風な大画面。

漫画・劇画の類は日常読まないが、この様に大きく書かれていれば読みやすく、ストーリーもあるから、思わず読んでしまった。

7室の『Tokio山水(東京圖2012)』はエルメスギャラリーで制作したものか?

大画面いっぱいに精密な東京の俯瞰図、洛中洛外を思わせる。

  

 
 

会場入り口のボードに展覧会評がコピーされて掲げてある。

それを読むと、なるほどと納得するが、とにかく何度見ても面白いのは事実だ。

 

会期は17日まで、残り少なくなった。

もう一度、観に来たい。