人の記憶

彼女と過ごした楽しい思い出。
子供と一緒に経験した、かけがえのない時間。

そんな記憶は、いつまでも忘れずにいたいものです。

その一方で、辛かったことや、トラウマになるほど嫌な経験。
できることなら、そんな記憶だけは消し去ってしまいたいと思うこともありますよね。

もし、人の記憶を自由に消したり、書き換えたりすることができたら、どうなるのでしょう。

辛い記憶を消してしまえば、人は苦しまずに生きていくことができるのかもしれません。

そんな「記憶の書き換え」が可能になった世界を描いたドラマ「マイフィクション」が面白い。

犯罪者の記憶を書き換え、善人として社会に送り出す。
更生した人間が社会のために働けば、刑務所に収容しておくための費用も減らすことができる。

そんなドラマを見ながら、ふと思いました。

もし、ヨウスケの記憶を消し去ることができたら……。

私の毎日は、もっと明るく、楽しいものになるのでしょうか。

家内と二人で美味しいものを食べたり、映画を観たり。
そんな、穏やかで楽しい毎日が待っているのかもしれません。

そこまで考えたとき、なぜか胸がぎゅーっと締め付けられるような気持ちになりました。

――そんなことを考えることさえ、自分自身が許さないのです。




子供と過ごした時間。
一緒に笑ったこと。
一緒に見た景色。
そして、今では辛く感じる記憶さえも。

それらはすべて、ヨウスケと生きたあかしなのです。

だから私は、忘れたくない。

楽しかった思い出も、辛かった思い出も、すべて含めて、私の中に残しておきたい。
いつまでも。