口かずの減りし母の爪切る音が個室に響く会話のごとく
施設に入所している母との会話は時々トンチンカンになり、二人して黙り込んでしまうと、個室はしんと静まり返ります。
そして、パチンパチンと、爪を切る音だけが響きます。
今日はあんまり話さなかったな……。
そんな日が、多々あります。
でも、ヘアカットと爪切りを、母の人生のギリギリまでしてあげられたら、もうそれだけで、いいかな。
この作品は、第27回NHK全国短歌大会(題詠「口」)において、選者選作品佳作として、選者・荻原裕幸氏(歌人)に選んでいただきました![]()
