お茶 ごめんねと 見つめて撫でて 抱きしめた 光を授け 夢奏でたい



高校に入学して、吹奏楽部に入部した私は、すぐに自分の楽器が欲しくなり、自分の貯金を下ろしてフルートを買いました。
それは、人生で初めての、高い買い物でした。
高校を卒業すると、フルートを吹く機会はなくなり、物入れの中にしまいっぱなしになりました。
あれから32年。
カビと黒ずみが目立つ姿に成り果てたフルートを見て、私は涙が止まらなくなりました。
最近、またフルートを吹いてみたいと思い始めていた私は、お金をかけても直してあげたい、そして思いっきり音を出してみたい、そう強く思いました。
新しいフルートが欲しい、とは思いません。
私の心を満たすのは、どんなにおじさんになっても彼らの歌声でないと駄目なように、私の演奏欲を満たすのは、この子でないと駄目なのです。
カビも黒ずみも、たとえ落ちきらなくても、私は丸ごと愛したいのです照れ